スローモーション男

さらば映画の友よ インディアンサマーのスローモーション男のレビュー・感想・評価

4.5
映画に魅了され、侵食されていった男たちの物語。

原田眞人監督のデビュー作です。原田眞人監督は近年はよくわからない大作映画ばかり撮っているし、最近ある映画の批評記事がめちゃくちゃ炎上していますが、デビュー作はまるでニューシネマのような作りでした。

1年に365日映画を観る団さんと若き映画少年シューマが意気投合し、映画を見続ける毎日。シューマはミナミという女性に恋するが、ミナミはやくざの女性で…。

「雨に唄えば」や「バーレスク」のパロディシーンから1960年代を彩る歌謡曲たちに押されながら友情と恋、戦いへといざなっていく。
非常に映画愛の強い作品です。でも映画しか観てないと現実世界で大失敗するよとも描かれてます。

団さんはシューマのために銃を片手にやぐざの元へ殴り込んでいきますが、端から観たらヤバい人です。
カッコよく描きながらも映画に囚われてしまった男の哀れな姿も見れる。

それでも映画が好きだった僕らに希望を与えてくれるような終わり方でした。

原田眞人監督、こんなに素晴らしい映画を作ってたのに…。
初心を忘れずにもの作りに励んでほしいです!