きのはる

コドモのコドモのきのはるのネタバレレビュー・内容・結末

コドモのコドモ(2008年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

とりあえず胸糞展開じゃなくて良かった〜と手放しに喜べないのは大人側の描写が少ないからです。子供達はノリとテンションと大人への反発(+堕胎の話を聞いてしまったこと)から産むこと、そして主人公の妊娠を大人達に隠し通すことを選択して成し遂げます。それは手放しにすげぇな!良くやったな!頑張ったな!と思えます。なんか色々タイミングが良かった(悪かった)せいもあるでしょうけど。ていうかそこまで妊娠って隠し通せるものなんですね。若いって凄い。しかも母子共に健康。臍の緒ちゃんと切れたんかよとか色々ツッコミどころはありますが、まあ良いでしょう。

で、産まれてからが問題ですよね。子供産まれてからが二十分ぐらいしかないです。PTA総会とか開かれて父親となった男の子の父親にマスコミが突撃していったみたいな話がチラッと出てきましたが、チラッとです。あんまり深刻な感じじゃない。子供が子供を産んだことについての深い苦悩は男の子一家が引っ越してしまったことぐらいでしょうか。あと校長先生がなんか体育館で呆然としている描写があったり、若い男の体育教師が物思いに耽りながらフリースローしている場面がありましたが謎です。もっと具体的に描写してほしいですね。

なんかもっと、後先考えてない元気一杯の子供達と現実の後始末をする大人達をうんと対比させて描いたら良かったんじゃないでしょうか。これでは「子供を産むことは良いことだ」というありきたりで無責任な結論にしか辿りつかないと思う。まあ産まれてしまったものはもう祝福するしかないのはその通りです。(こういう時暢気に「子供は宝じゃ〜」とか言ってくれるお年寄り本当に助かるよね。)
しかしながらその「祝福」の状態を維持するためには様々な手続きが必要なはず。そこに奔走する大人達の姿をもっと描いても良かったんじゃないかな〜と思います。映画じゃなくてドラマでじっくり見たい感じの題材でした。
きのはる

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