青山

スカーフェイスの青山のレビュー・感想・評価

スカーフェイス(1983年製作の映画)
4.0

キューバから逃れてアメリカへやってきたトニー・モンタナ。麻薬ビジネスの世界へ飛び込んだ彼は、持ち前の野心と凶暴さで金も地位も女も手に入れてのし上がっていくが......。


デパルマ監督、アル・パチーノ主演、助演にミシェル・ファイファーらを据えた3時間近い大作。

キューバのカストロがどうとかいう始まりだったので歴史とか政治とかようわからんし難しそう〜とか思ったけど、本筋は田舎から出てきたチンピラが裏社会でのし上がってやがて破滅していく......というめちゃくちゃ分かりやすい話でめちゃくちゃ面白かったです!

なんせめちゃ長いのでところどころダレそうになるんだけど、かと思ったらドンパチが始まったりする緩急があってなんだかんだダレずに観れたな。
特に序盤の初めてのお仕事のシーンのエゲツない暴力描写で一気にアドレナリン全開うお〜!ってなるのと、クライマックスの銃撃戦が最高で、始めと終わりでぐっと引き込んで引き締めてくれるので長さをそんなに感じさせません。

また、ドラマとしても主人公トニーのキャラ造形がとにかく絶妙。
野心と闘争心しかないような凶暴な男で、仲間も簡単に見捨てるし愛する女はペットかトロフィーみたいな扱いで最悪だし身近にいたら絶対嫌だ。......なんですけど、嘘偽りを嫌い女子供を手にかけないという信念があるので、まっすぐな悪党としてどこか応援したくなっちゃうくらいの清々しさがあるんですよね。前半はそういう唯我独尊なところを武器にぐいぐい登っていくけど、後半落ち目になると独りよがりに見えてくるのも諸行無常って感じで良いですね......。
演じるアル・パチーノさんがさすがで、変な言い方ですけどトニー本人にしか見えなかったです。
ミシェル・ファイファー演じるヒロインのエルヴィラも凄かった。どうしても男の物語なので存在感が薄くなりそうなところを、えげつない美しさと、冷ややかさと人間味の二面性で強いインパクトを残してます。
他にもトニーの相棒のマニーや、トニーの妹のジーナも印象的なキャラクター。

そして、クライマックスの本作1番の「動」からの「静」を感じさせる結末に侘び寂びがあり、分かりやすいメッセージの文章が最後に映し出されるのも、ちょっとやりすぎな感もあるけど本作の狂騒感には合っていてよかったです。
青山

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