千年女優

砂の惑星の千年女優のレビュー・感想・評価

砂の惑星(1984年製作の映画)
3.5
人が宇宙へ進出して幾星霜を経た西暦10191年。肉体と精神の力を引き出す万能スパイス「メランジ」を生む惑星デューンを司るアトレイデス家の嫡男で母の血から超能力を継ぐポール。それ故かねてより因縁あるハルコネン家のウラディミールから命を狙われる彼が、様々な思惑と巨大生物が蠢く砂の惑星で繰り広げる冒険を描くSF映画です。

フランク・ハーバートが上梓して宇宙冒険譚のクラシックとなるも壮大な世界観故ホドロフスキーが断念する等映像化は不可能と言われたヒューゴー賞受賞作をデビューからの二作でカルト的人気を集めたデイヴィッド・リンチ監督で映画化した作品で、上映まで漕ぎつけるも評価・興収共に伸び悩んで手放しの称賛とまではいきませんでした。

徐々にダイジェスト感が強くなるなど余りに設定の多い長編を二時間強の尺でまとめるのは至難の業で、「SF未来世界」を描く点において作風との食い違いも感じられます。それでも「生物」のおどろおどろしさの表現は流石で、毒か薬かの「万能の粉」つまりはドラッグという社会の深淵を覗くという自らの作風に手繰り寄せている一作です。
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