このレビューはネタバレを含みます
人類に子供が産まれなくなった2027年のイギリス。
世界各国は崩壊し、鎖国政策を敷くイギリスでは不法移民は捕らえられ収容所へ。一方で一部の不法移民達はフィッシュという名の反政府組織としてテロを行う。
主人公セオはエネルギー省に勤めており、この世のあれこれに絶望しながらも生きている。
ある日拉致されたセオの前にかつての妻ジュリアンが現れる。
ジュリアンはある不法移民の娘、キーを逃がそうとしており、大臣の従兄弟であるセオに通行証を都合してもらえないか頼む。
後にキーが妊娠していることが判明する。
そこから色々と物語が動いていく。
子供が産まれなくなった理由やキーが妊娠に至った経緯、そして人類を救済するプロジェクトについての説明はほとんどなく、その点はモヤモヤが残るかもしれない。
しかしながら、主人公の名は神を意味するTheo、まさに人類存続の鍵となる少女キーは人類の始祖である黒人、と意味深い設定に加え、特にラスト30分の緊迫した場面での長回しには息を飲む臨場感がある。
そして赤子の前ではみな一様の反応を見せる。まさに人類の希望を目にしたような人々の様子は胸に迫るものがある。
このラスト30分の緊張感と感動こそこの映画の見るべき価値と思う。
ボートを沖へ漕ぎ出すセオとキー、そして街には大規模な空爆、やがて現れるトゥモロー号。
新たなノアの物語を思わせるような、そんなお話でした。