勝沼悠

トゥモロー・ワールドの勝沼悠のレビュー・感想・評価

トゥモロー・ワールド(2006年製作の映画)
4.0
 子どもが産まれなくなってしまった近未来。世界が壊滅する中、移民を排斥することで何とか治安を維持しているイギリスで、元妻がリーダーの反政府組織から協力を依頼された男が出会ったのは世界で18年いなかった妊婦だった。
 
 いわゆるディストピアものなわけですが、独裁者が支配という分かりやすい形ではないのがいい。10年前につくられた映画だが、移民排斥し孤立化して国を守るイギリスという設定は先見の明がありすぎる。
 これ、SFっぽい設定は何もなくて、子どもが産まれなくなった世界でたった一人の赤ん坊を誰もが守ろうとする姿を描いた映画といっていいと思う。ちょっと抑えた感じの主人公、長回しっぽい映像、象徴的な音楽。それらがうまくマッチしていて惹きこまれて見てしまった。
 原題の『 Children of Men、人類の子供たち』からあえてちょっとボカした邦題もなかなかいいと思いますよ。
勝沼悠

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