onotoraman

トゥモロー・ワールドのonotoramanのレビュー・感想・評価

トゥモロー・ワールド(2006年製作の映画)
3.5
長回し。長回し。長回し。
子供が生まれなくなった世界。テロが起こり、移民隔離が起こり、安楽死が推奨されている。その中に、ハリウッドとは違う社会情勢とか市民生活とかに重きをおいた繊細なディストピアのその中に、長回しの映像によって投げ込まれる。
冒頭の長回しから掴まれる。コーヒーショップのテレビでニュースを見ている主人公。まさに日常。テレビの前でこの映画を見ている自分となんら変わりにない。そのコーヒーショップが店を出た瞬間突然爆破される。そのシームレスな非日常への変化が、主人公と映画を見ている自分に、ここは平和な世界ではなくなっていることを叩きつける。
そこからも印象的な長回しがたくさんある。ひとつひとつ語り始めるとキリがないが、どれも「入っていく」感覚が強くて、今の技術レベルのVRなんかよりよっぽど仮想世界を体験させることに成功しているんじゃないかと思う。
ただ、主人公のとる行動に必然性が感じられなかった。そんな危ない橋渡る必要あるの?いい映像だけに残念。
onotoraman

onotoraman