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少林寺三十六房のYOUのレビュー・感想・評価

少林寺三十六房(1977年製作の映画)
3.9
ラウ・カーリョンが監督を務めた、1978年公開のカンフー・アクション。
実在した少林寺の英雄僧・劉三徳をモデルとした本作では、極悪な将軍によって家族や仲間を殺された主人公サンダが少林寺に入門し修行を積んでいく様子が描かれます。中学2年生の時に初めて触れて以来私を映画好きにさせた決定的要因であり、以降の暮らしや価値観を一変させたと言っても過言でない存在、それが「カンフー映画」でございまして、これまでもあちこちで「カンフー映画が好きで好きで仕方ない」と言い張ってきました。しかし今回私はそんな自分を大いに叱ってやりましたよ、本作を観ずして何がカンフー映画好きなのかと。そのくらい後の香港映画界に多大な影響を与えたカンフー映画不滅の金字塔、それが本作『少林寺三十六房』らしいのです(『アンジェラ・マオの女活殺拳』とか観てる場合じゃないよまったく)。感想はもはや言うに及ばずですが、、、いやめちゃくちゃ面白れぇ!物語自体は「肉親を殺された主人公が特訓して強くなり復讐に打って出る」というカンフー映画の王道を行くものですが、何を隠そう本作最大の見所はその特訓シーン!奇想天外にして超絶過酷な三十五房もの関門を主人公が一房ずつ突破していく姿には観客側の勇気も鼓舞されますし、その中で彼が次第に新たな目的、真のアイデンティティを見出すことで大人へと成長するという帰着も実に見事だと思います。

また本作の魅力を最大限引き出しているのが主演のリュー・チャーフィーです。凛々しい顔立ちからエッジの効いた肉体、多彩な武器の使いこなしに至るまで文句の付け所がありませんし、また前述の通り主人公サンダは作品内で劇的な成長を遂げるキャラクターであり、序盤と終盤では彼の卓越した演技によって本当に別人のように見えました。敵役はお手の物のロー・リエも相変わらず冴えていますし、終盤でサンダに弟子入りする男達も良い顔が揃っていてGOOD!ちなみにロー・リエと言えば、本作と同じくラウ・カーリョンが手掛けた『少林虎鶴拳』(1978)の悪役”白眉道人”を演じたのも彼であり、その白眉道人こそが私の大好きな『キル・ビル Vol.2』に登場するプライドの師匠”パイ・メイ”の元ネタで、更にそこでパイ・メイを演じたのが本作の主演リュー・チャーフィーということで、タランティーノやジャッキー・チェンで香港映画に興味を持った人が「次に観る1本」としても本作は非常にオススメ出来ます。何なら『鬼滅の刃』だって本作と近しい構造を内包しているので、荒唐無稽な特訓シーン含めひょっとすると今の小中学生たちには受けが良いんじゃないですかね。学校の視聴覚室でこれ観れたら最高でしょ。私も落ち込んだ時にまた観直そうかと思います。


































































































長野誠に挑戦してほしい。
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