Ryan

エレメント・オブ・クライムのRyanのレビュー・感想・評価

3.0
映画学校在学時の伝説的作品


ストーリー
刑事フィッシャーはFBI心理分析官ばりに犯人の心理に近づいて捜査を行う敏腕捜査官だった。しかし余りにのめり込みすぎ、犯罪の渦中に引きずり込まれてしまい......。


主演 マイケル・エルフィック
監督 ラース・フォン・トリアー


ラースフォントリアーの才能を世に知らしめた長編監督デビュー作。
全篇黄金色、セピア調画面で犯罪者の観点に立って事件を解決しようとする刑事の活躍を幻想的に描く。


異色。
デビュー作がこれは「完成されている」と言って良いだろう。
ラースフォントリアーの中にある抑えきれない「人殺しの欲望」を純粋に描いた様にすら感じる。
一切説明がなく、淡々と過程を見せつける。
出オチの様な分かりきったオチが用意されている事も重々承知だが、止める事はできない。結末までの"過程"が真の人間性を感じさせ、それを壊す事に注力する様な映画はラースフォントリアー特有だろう。

何のための映画なのか?と聞かれると迷わず「人を殺すまで」なのだろう。
深みにハマりすぎ深淵を見てしまった人間の戸惑いと喜び、またはその両方を敢えて破壊する。
やっぱり"狂ってない"と作れない映画だろう。

個人的には途方もなく長い。
ここまで静かでありながら犯人を追う映画は他に考えられない。
人によってはその退屈さと静けさから眠気が襲ってくる事も覚悟で鑑賞した方が良いだろう。

とりあえず"ヨーロッパ三部作"の始まりをみた。
Ryan

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