Mypage

ワイルド・アパッチのMypageのレビュー・感想・評価

ワイルド・アパッチ(1972年製作の映画)
-
戦場の論理。

インディアン側と西部開拓側のバトル劇、もののけ姫の様相のような前半。
寡黙で鋭い眼光のアパッチ族リーダー・ウルザナ、対するは学校を出て半年のひょろひょろ君。キリスト教の友愛の心でアパッチ族によもや説得を仕掛けるんじゃないだろうかと。
勝手知ったるマッキントッシュと協力者のケニタイは、冷静な判断でウルザナを追跡する。
先回りや駆け引きを含むバトルものとして一級品でありながら、新米リーダーとベテラン兵士の仕事もののドラマとしても面白い。マッキントッシュや軍曹による新米少尉への大人な接し方が、ブラック企業の先輩が新入りをいなすみたいな図にも見える。どんな不安な事件が起きても隊が前進するたび陽気な音楽がかかるのも皮肉で面白い。しかしどうしたって当たり前のように命が懸かっているという状況がひりひりと演技から伝わってくるので時間を忘れてのめり込むように観れる。
表情を変えずにかつての仲間を追い詰めていくケニタイと肉食獣のように冷徹な目をしたウルザナが向かい合うシーン。言葉はなく、岩に囲まれて命だけがやりとりされる。
人間らしい感情は任意であって、ここではまったく必要がない。戦場の論理、野生の論理の前に道徳の論理はちっぽけだった。
Mypage

Mypage