notitle

男はつらいよのnotitleのレビュー・感想・評価

男はつらいよ(1969年製作の映画)
2.5
"国民的映画"という称号のついた過去の遺産。世界最長の映画シリーズということで有名だが、どうも私はこの映画とウマが合わないようだ。

約90分ほどの映画だが、冒頭30分間は主人公である寅次郎の大暴れが続く。奇特なキャラクターが常識のかき乱して笑わせるコメディは多く存在するが、寅次郎のそれはほとんど病気のレベルである。食事の席のシーンに限らず、全体的な行動や考え方が下品であり無神経だ。キャラクターの性格付けとして擁護できるところが全くない。

キャラクターの立ち位置などからもわかるが、本作は伊丹万作先生の『無法松の一生』から強い影響を受けている。
しかし、松五郎は奇特なキャラクターではあるが不愉快ではなく、礼節も弁えており失敗したことはきちんと反省できる、実は非常に完成された人間であった。
また、これも非常に重要なところだが、松五郎には欠点を補って余りある人徳や面白さが備わっており、迷惑をかけられた相手もうっかり松五郎を許してしまうほどの心地よさがあるのだ。

松五郎の影響を受けて誕生した寅次郎だが、私はこのキャラクターを受け入れられるほどに寛容ではないらしい。
妹のさくらが一所懸命に生きているところは良いと思う。そこだけは評価しても良いかな、と。
notitle

notitle