Holmes51

男はつらいよのHolmes51のレビュー・感想・評価

男はつらいよ(1969年製作の映画)
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【帝釈天の梵名はインドラ。武勇の神。】

私、生まれも育ちも葛飾柴又です。帝釈天で産湯を使い、性は車、名は寅次郎。人呼んで、フーテンの寅と発します。


桜が咲いております。懐かしい葛飾の桜が今年も咲いております…。思い起こせば二十年前、つまらねぇことで親父と大喧嘩、頭を血の出るほどブン殴られて、そのまんまプイッと家をおん出て、もう一生帰らねぇ覚悟でおりましたものの、花の咲く頃になると、きまって思い出すのは故郷のこと……。風の便りに両親も、秀才の兄貴も死んじまって、今はたった一人の妹だけが生きていることは知っておりましたが、どうしても帰る気になれず、今日の今日まで、こうしてご無沙汰に打ち過ぎてしまいましたが、今、こうして江戸川の土手の上に立って、生まれ故郷を眺めておりますと、何やら、この胸の奥がポッポッと火照って来るような気がいたします。


おぅ、さくら。ビール飲むか。
ー結構よ。
あっそう。結構ね…結構毛だらけ猫灰だらけときやがった。ホホホ…笑ってる。笑ってるよ、おねえさん。面白い?そう。これまだ続くんだよ。尻の周りはクソだらけってね。ハハハ…。こりゃちょっと汚かったか。ええ?


私、生まれも育ちも東京葛飾柴又です。性は車、名は寅次郎。人呼んで、フーテンの寅と発します。皆様共々、ネオン・ジャズ高鳴る大東京に仮の住居まかりあります。不思議な縁持ちまして、たった一人の妹の為に、粉骨砕身、〝バイ〟に励もうと思っております。西に行きましても、東に行きましても、とかく土地土地のおあにいさんおあねえさんにご厄介掛けがちなる若造でござんす。以後、見苦しき面体、お見知りおかれまして、向後万端引き立ってよろしくお頼み申します。


兄さんも男なら、一度ぐらいは心の底から女の人を愛したことがあるはずだ…。


ただいま。お兄ちゃん、私博さんと結婚する。決めちゃったの。いいでしょう、ねえ、お兄ちゃんいいでしょう。


あんたの式の次の日から毎日だもんね。〝寅さんの寺通い〟って有名なんだよ


白く咲いたか、百合の花。四角四面は豆腐屋の娘。色は白いが水くさいときた。どうだ、おい!よし、まけちゃおう!まかった数字が三つ、ね、七つ長野の善光寺八つ谷中の奥寺で、竹の柱に萱の屋根、手鍋下げてもわしゃいとやせぬ。信州信濃の新そばよりも、あたしゃあなたのそばがよい、あなた百までわしゃ九十九まで、共にシラミのたかるまで、と、きやがった、どうだチキショウ。さあこれで買い手がなかったら、私、稼業三年の患いと思って諦めます、ねえ、西に行って天橋立、東に行って東京、西と東の泣き別れだ、おい!

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・https://www.cinemaclassics.jp/tora-san/movie/1/
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