Siesta

男はつらいよのSiestaのネタバレレビュー・内容・結末

男はつらいよ(1969年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

今年1本目。実は初めての山田洋次 つまりは「男はつらいよ」も初めて もう、これがそのまま日本における人情喜劇のテンプレートよな そして、今の時代にこのシリーズはどこまでの普遍性を持ち得ているのか 
寅さんというキャラクターは良くも悪くも東京下町の不器用な男性をカリカチュアしたもの ウディアレンにおける彼自身のような もっと端的に言えば、寅さんは“昭和の男”そのものに見える
長い口上、あの有名なテーマソング、帰郷する寅さん もはや説明不要の最強のつかみ 久しぶりの帰郷に歓迎する家族、街の人々 この時点で違和感とか今のリアルとの差異を指摘するのはナンセンスだなと思ってしまう ここまで清々しいまでの人情喜劇はかえって新鮮に映るほど さくらがスクリーンに映る瞬間の華やかさ 倍賞千恵子、綺麗だなぁ 会った瞬間に分からずに寅さんがしょぼくれて、分かった瞬間の「お兄ちゃん?」からの「小便してくる」が良い ここ、お兄さん?じゃなくてお兄ちゃんなのが大事
ただ、ここからの縁談ぶち壊しモードはシンプルに胸糞だなぁ 不器用で収まるもんではない でもまぁ下品さの具体例が素晴らしいのよ 食べ方汚い、小便・大便トーク、独りよがりの話し方 田舎の嫌な昭和のおじさん、誇張しているけどマジでこれよ 学歴なんて関係ねぇキャラじゃなくて立場に応じてヘコヘコするのマジで程度低くて あ、これは褒めてる 博との結婚も上手く仕向けたわけじゃなくて、ただの怪我の功名で これもまたご都合主義とか言っちゃうのはナンセンスで むしろ、さくらの聡明さと寅さんのポンコツ加減が際立つというか
結婚式でのドタバタ感は、これこそ正しいドタバタ感だなと 今のコメディでも真似したようなことするけれど、ただ慌ただしいだけなんよ それに、この雰囲気はこの時代や作品の雰囲気に説得力を持たせる圧倒的な存在が必要なのかなと チャップリンであったり、寅さんであったり それにドタバタであってゴチャゴチャではないその整然さ、バランスも良い それから、志村喬、笠智衆という名優の存在感も最高 志村喬の陰気な雰囲気、笠智衆の悠々とした雰囲気は一気に名作の雰囲気を作り出す バターは笑う チーズ間違いなのね、と キャスト陣が素で笑っている感じも良い
そして、マドンナとの恋愛も報われず、一年後の無鉄砲な旅路という そもそも寅さんって、ダメ男の象徴で、永遠のおじさんピーターパンというか だからこそ、昭和男子の熱狂的支持を得たのだと思うし てか、これ見て、寅さんでも良いんだ!ってなるのは違うと思う むしろ、反面教師にして笑ってあげるキャラクターだと思う
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