友人が酔っぱらってやけになり、「結構毛だらけ、猫廃だらけってね」と乱痴気になっていた。
いい響きだなぁと思って調べたらこの映画に行き着いた。
誰もが知るシリーズで、いつか見ようと思っていたけれど、中々手が伸びなかった映画。(プリズンブレイクとか、黒沢映画を見ようとするときのあの感じ)
いわゆる、面白いと一括りにすると分厚いファンに怒られそうな雰囲気を持ってるように感じる。
寅さんって人情に厚く、優しい人間だ。とよく聴くけれど、実際見て、考えてみると本当に恐ろしい人間に見える。
テキ屋商売でその日を暮らし、舎弟がいて、ひょんなことから怒髪天になる。友達になんてなれそうもないし、家族にだっていて欲しくない。
本当に破天荒でやることなすこと迷惑でしかない。
ただ不思議なことに、いなくなると、ぽっかり穴が開いたように感じる。見ているだけの僕ですら感じてしまう。
いつ、寅さんがスクリーンに移ってくるのか...初恋のような感情に苛まれる。
話したいけど離せないみたいな、辛そうで辛くない少し辛いラー油みたいな、そんな相反する二面性がはっきりとしているキャラクターだからこそ、そういう風に感じる。
近代名作映画と自分自身で敷居を高く設定せずに、もっと早い段階でこの寅さんに合っていたら...中学生の頃に見ていたら...人に対して我慢せず、言いたいことをいうような、人間になれたんじゃなかろうか...
自分で嵐を巻き起こしたいと思っている人は、寅さんに恋ごられるんじゃないだろうか。そんな方必見。