ツクヨミ

歩いても 歩いてものツクヨミのレビュー・感想・評価

歩いても 歩いても(2007年製作の映画)
2.0
普通な家族の夏休みと内在化する人間関係。
夏の終わりの頃に祖父母の家に集まった3世代家族たち。彼らは一日を一緒に過ごしていく…
是枝裕和監督作品。今作は監督本人が"何も起こらない映画"と言っているほどごくごく日常的な家族ドラマになっており、すごくのんびりした空気感を味わえる作品になっていた。祖父母の家で過ごす夏休みのひとときは素朴ながら楽しく、自分の記憶の中にある祖父母の家のことを思い出し懐かしんでしまう。
しかしこれは是枝裕和作品だ。楽しく素朴な日常生活の裏には3世代家族が抱える人間関係の不和がしばしば垣間見える。それは父と息子の微妙な関係だったり、姑と嫁のちょっと隙間がある関係だったり、家族でも血が繋がっていなかったりとちょっと複雑な関係が内在していた。"誰も知らない"や"空気人形"で描かれた重い要素ではないが、日常的な内容に比例したリアルな家族問題をじわりと描いているのは流石。
やはり是枝裕和監督は2面性がある社会の表と裏をうまく共存させていると改めて感じた。
ツクヨミ

ツクヨミ