サヤコ

歩いても 歩いてものサヤコのレビュー・感想・評価

歩いても 歩いても(2007年製作の映画)
3.9
とても面白い。
笑って面白いとかハラハラして面白いとかではなく、興味深い、とてもユニークな映画。
若くして亡くなった長男(兄)の命日に合わせて里帰りする次男夫婦(阿部寛と夏川結衣)の行きの車内から物語は始まる。
実家に帰るのを面倒がってる次男坊(阿部ちゃん)、、「やっぱり泊まらずに今夜帰ろう」
「そんな事できないわよ、、」なだめる嫁は、
バツイチで子連れ再婚。
実家に着くとガンコおやじに、世話好きおかん、小姑の姉の家族がいて、まさに絵に書いたような「ザ、日本の里帰り!」風景。

実家って、たまに行ってほっこりする気持ちと、ちょっと居心地悪い気持ちが混在して、何とも言えない変な自分になる。
この感じをリアルに出してる2時間。
たった1泊2日の里帰りなのだが、本当に色んな感情、人生の縮図が詰まってる。
運や皮肉、当たり前の幸せや逃れられない責任、、
サラッと見ても面白いんだけどね。
見た者の立場でなんか色々語りたくなる。
親なのか、子どもなのか、嫁なのか、義理の息子なのか、、それぞれの立場で。

ネタバレ無しで言うと、若くして亡くなった長男のエピソードとともに命日に毎年訪ねてくる若者が出てくるのだが、ここは本当にすごい辛さとやるせなさ。シュールの極み。
それまで「嫁」の立場で楽しく見てた私だが、一気に「母親」になった。
賑やかに家族みんなが集まる夏の日、
せっせと働き、明るく皆をもてなす日、、でもそれは愛する息子の死んだ日なのだ。
つれぇ、、、!、、、!

樹木希林、YOU、夏川結衣、女優陣が最高。
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