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欲望という名の電車のa9722のレビュー・感想・評価

欲望という名の電車(1951年製作の映画)
3.8
この映画の軸は、異質と嫌悪・残虐なのかなと考えた。
ブランチは確かに気が狂っているし、病気で異質だろうけれど、異質は嫌悪・残虐から作られたんじゃないかって。
異質なものがあるから嫌悪があって、嫌悪があるから異質がある。そんな双方があっての成立の意味で。

その代表格として暴力的なマーロン・ブランド演じるスタンリーが出てくる。
ブランチを狂わせたのはスタンリーではないけれど、象徴としてスタンリーが出てくるような。
元の劇を見たことがないから見てみたい。

そしてこの映画はまず真っ先に出てくる要素が、各俳優の演技。
これのおかげで何ランクも評価があがる映画だと思う。
マーロン・ブランドは劇でもこの役をやっていたけれど、とても70年前の演技とは思えない現代に通ずる演技をする。
粗野で暴力的で残虐でかつセクシーで。
ここぞというところで、人の精神に傷をつけるその若干狂気じみたとも言える残虐性が恐ろしかった。ある意味それも人間として狂ってるんだよな。そうしないではいられないみたいな。
精神って傷がどんどんついていって、おかしくなるものだよなってのを改めて思い出した。
でも仮面はあくまでもセクシーで、彼のTシャツ姿はアメリカで男性のTシャツ流行を起こしたそうで。そりゃそうだってくらいセクシーでイケメン。

そしてヴィヴィアン・リーは他の映画でもだけど、狂気が目に乗り移る。
そして画面越しに見ているはずなのに、見ているこちらにまで狂気が乗り移りそうな、そんな気にさせる。
思わず歯がガタガタいったし、身震いしてしまった。
それくらい目を見張る、惹きつけられてしまう恐ろしさがある。

高度な演技を堪能できて非常に満足。
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