悠

欲望という名の電車の悠のレビュー・感想・評価

欲望という名の電車(1951年製作の映画)
3.4
家を失い妹の元へと身を寄せた未亡人の女性が破滅していく様を描いた悲劇。
有名な戯曲の映画化作品ですが、冒頭から「欲望という名の電車に乗って、墓場で乗り換え、極楽で降りるんだけど——」なんていう示唆に富んだおしゃれすぎるセリフが登場し心を鷲掴みにされました。
主役である未亡人ブランチを演じたヴィヴィアン・リーは、表情や言動の節々に精神状態の不安定さが見てとれる怪演でオスカーを獲ったのも納得。年不相応にいつまでも過去に囚われる痛々しい姿は『何がジェーンに起こったか?』のジェーンや『サンセット大通り』のノーマを彷彿とさせます。こういう承認欲求をこじらせて他人に依存しまくった挙句色んな人間から悪評を買う女性いるよな…としみじみ共感してしまいました。
主役以外の登場人物もろくでもない人間ばかりで、義弟は常にキレて暴れ回るし、一見まともで可哀想に思える妹も結局夫に共依存気味なところが見えて不快。鑑賞後は虚無感と後味の悪さを感じることができます。もちろん胸糞映画好きの褒め言葉です。
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