Tラモーン

ピカドンのTラモーンのレビュー・感想・評価

ピカドン(1979年製作の映画)
5.0
いつもどおりの当時の広島の人々の日常を観ているだけで、胸が苦しくなるし涙が出てくる。

それはこの後、何が起こったのかぼくたちは知っているから。

雨戸を開けていそいそと朝食の支度する母、ちゃぶ台の上から紙飛行機を投げて父親に抱っこをせがむ男の子、笑顔で我が子を抱き上げる父、姿見で身支度を整える娘…。

吹き飛ばされた日常と、失われた彼らの人生は二度と返って来ない。

そう思うとセリフもないのに、子どもたちの笑い声が聞こえてくるだけで涙が出てしまう。

8:15に近付く時計と飛来するB-29。やめてくれやめてくれと祈ってしまう。

後半の被爆の描写はとてもショッキングだ。
でもぼくたちも、もっと若い世代もこのことは知らなければならない。目を背けてはいけない。



ぼくの妻は広島出身(もう広島を離れてからの人生の方が長いけど)で、広島に親戚も多い。
以前帰省で原爆ドームと平和記念公園に行ったとき、あまりの凄惨さに身震いするほどつらくなってしまったのを思い出した。

今ぼくには1歳半の息子がいて、彼のためなら自分の命なんていくらでも投げ打てると思っているんだけど、こんな風に彼の未来が奪われてしまったら…と想像しただけで涙が出てきてしまう。

またいつかこんなことが繰り返されることがないように、大人がちゃんとしなきゃと思うと同時に、今まさに未来を奪われている子どもたちも大勢いることを絶対に忘れてはならない。
Tラモーン

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