JOY

おもひでぽろぽろのJOYのレビュー・感想・評価

おもひでぽろぽろ(1991年製作の映画)
4.4
TSUTAYAプレミアムにて


 めちゃくちゃ面白かった。高畑勲、すげー。
 この作品は、小学生の時にジブリアニメ絵本、みたいなので読んだことがある。内容はちょっと覚えている程度だが。

 宮部みゆきのブレイブストーリーの序盤を思い出した。こういう作家の少年少女時代のやたら高い解像度はなんなんだ?

 なんだろう、解像度とは違うと思うんだよな。子どもの頃見た時は「子供の理想像」というか、こういうふうにするのが大人から見た子供として、理想的なのかな?と思っていた。
 こんな子供でいることを要求された気がして、その通りに振る舞ってみたり、田舎がある自分の境遇をなんとなく嫌に感じたりした。

 子供からすると、こういう作品は「舐めんじゃねーぞ」って思うのかな。子供の描き方というよりは、子供の目線で作品を作ることで大人も実は色々考えてたり、感じてたりするのよ、というか、周囲の人間の金言や戯言を俯瞰で見れることの方が価値があるのかもしれない。

 大人として今見ると、子供目線の感覚の解像度に驚くけど、子供本人はどう思うのだろうか。ジブリを見て全く共感しない世代とか、これから出てくるのかな。

 子供の頃のたえこの暇そうな日常。なんというか、自分の中で文化というのか、考えの糧になる教養的なものが確立されてない時期って、やたらと暇だった気がするな。
 こういうの見て、子供側に感情移入しがちだけど、いつかそういう自分も変わっていくんだろうか。

 「おもひで」のお父さんは、ジブリの典型的なお父さんって感じする。物静かで、ちょっと家父長制度の趣を感じるような感じ。

 自然と人間との共同作業があるから、田舎は懐かしく感じるという話が良いね。
 ジブリの持つ民族としての共同幻想には、最初から高畑勲が答えを出してるのかな。
 蔵王、いろんな作品で題材にされているってことはやっぱり綺麗なんだな。いつか行きたい。

 心に少女がいる女、というよりもどの女も心に少女がいて、ジブリは結構それを色濃く出すのかな。
 「しっかりしているけど、時々可愛い女」というのは、激モテする女の一類型としてあるよね。みんなどういうタイミングで「どうやらこいつを好きだぞ」となるんだろうか。

 ちょっとお客さまというか、そういうたえこにモヤモヤ。俺は勲の掌の上で踊らされている。
 自分の人生にどこか失望感というか、満たされないものを感じていて、けどそれを自己肯定感の低さ、みたいな感じで露出する瞬間にモヤッとしてしまう。
 自己肯定感の低い人は、迷惑、と言い切っている記事を昔見てかなりビクッとしたことを思い出した。自分も結構自分に自信がないから恐ろしいね。

 阿部くん、、、阿部くんのエピはめちゃくちゃ刺さってしばらく動けない。これは過去絵本で読んだ時もそうだった。
 ここに関してはトシオのいうことがまじで全てだと思う。

 たえこは田舎での暮らしという生き方への憧れと、人への憧れを混同しているのでは?と思っていたのだけど、どうやらそうじゃないのか?
 見ていて羨ましいのは、なんか衝動的な愛情や恋慕の情ではない好意を最終的にたえこが選んだところ。
 すごく賢い女の子だったんだろうな、と思って幸せな気持ちになった。
 最後のエンドロールあたりから、ずーっと泣きそうだった。勲、すげー。これはかなりよかったです。

 見た後で興奮しているからあまり思ったことが書けてない。
 たえこが鬱々と田舎暮らしについてなやむところ、お父さんの一方的な決定に従う家族の感じ、「分数の割り算」の話。
 色々思うところがあるけれどまとまんない〜。また見る〜。また書く〜。
JOY

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