湯っ子

千夜一夜物語の湯っ子のレビュー・感想・評価

千夜一夜物語(1969年製作の映画)
3.8
CGのない時代に、知恵と情熱を持ってこれだけのスケール感を演出しているのがすごい。
景色にいきなり実写映像が使われるのもかえって新鮮で面白いし、宮殿含む街並みのジオラマも美しかったし、シュールでエロチックなシーンもすごくカッコよかった。
お話は荒唐無稽。主人公のアルディンは、お調子者でずる賢くて、欲望に忠実なのに執着心を持たない。生命力が強いっていうのはこういう奴のことかと思う。
アルディンの声は青島幸男、ヒロインのミリアムに岸田今日子というキャスティングも強力だけど、友情出演のメンツが凄すぎてビビる。

美術とキャラクターデザインがやなせたかし!
小学2年生の頃、やなせたかしが編集長をつとめる詩とメルヘンの雑誌「いちごえほん」に私の詩を投稿して、載せてもらったことがある。永田萌さんが見開きで挿し絵を描いてくれて、やなせさんがはしっこに、この詩にひとことくださった。実家には今でもそのページが額縁に入れて飾ってある。
小さい弟のことを書いたたわいもない詩なんだけど、投稿した作品は、私が書いたものに母がだいぶ手を加えたものだった。それでも雑誌に載ったことは嬉しかったので、そのへんはずっと自分のなかでもうやむやにしておいた。
年月が経って、次男が小学2年生の頃、夏休みの自由研究にとりかかる様子がないので、これにしなさいと私は彼に手作り石けんを作らせた。石けん作りは、わりと自由研究の定番である。2学期になって、学校公開(授業参観)で、夏休みの自由研究の発表があった。私は彼の発表時間に間に合わず見逃したのだが、発表で「なぜこれをやったかというと、お母さんにこれにしなさいと言われたからです。」と発表していたらしい。その場にいなかったことに心底ホッとしたとともに、わが子ながらもなんかこいつすげーなと感心してしまった、という関係ないことを思い出してしまいました。
湯っ子

湯っ子