たたみ

シンクのたたみのレビュー・感想・評価

シンク(1998年製作の映画)
5.0
まだ携帯もインターネッツもそこまで普及してない時代。そこで、誰かと誰かが出会ってすれ違うだけの話。でも、そこには無限の可能性とファンタジーがあるし、まだそれを無邪気に信じていられた頃のお話。

テレパシーで通じ合う彼らは、お互いの素性や生活に立ち入らない。ただ、個々の生活にはそれぞれの機微があって、薄〜く淡〜く、それぞれの人間関係や人生が重なり合ってる。インターネットのコミュニケーションを予期していたと思わせる描写だが、それとはちと、違う。
その世界の広さ、豊かさに想いを馳せた。フィッシュマンズとか、90年代中期のオザケンの様な世界観。
だから、3人が再び出会えたあの瞬間は本当に尊い瞬間だったと思える。

粗くて身近な映像、素人感丸出しの演技、浮遊感のある音楽。90年代という時代の雰囲気がこれでもか、と真空パックされた、貴重な作品。
たたみ

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