歯医者のお姉さん

アンジェラの灰の歯医者のお姉さんのレビュー・感想・評価

アンジェラの灰(1999年製作の映画)
4.5
素朴だけれどとても美しい映像がまず刺さった。曲も素敵だった。キャラクター作りも至極丁寧で、見る側であるこちらも大切にしたいなという気持ちが生まれてくる程。息づいた表情や、ウィットの効いたお洒落な台詞、棺桶についたコップの跡を拭ったりといった細かな仕草。初アランパーカー作品、もう、すごく好きになってしまった。

何が悪いとかじゃない、なんかほんとうにもうどうしようもなくて、手も足も出なくて、何のせいに、誰のせいにしたらいいのか、アランパーカージョークに時折笑わせられつつも、やるせない気持ちがずっとあった。子供は無邪気で可愛い。だからこそ残酷でもある。

この作品を通じて、"生きる"ということの本質を垣間見たような気がする。意味だとか価値だとかそんなものでは到底解明出来ない何かを。こんなに苦しいのになぜ生きるのか?一瞬の幸せのため?大切な人のため?命あるから生きる、ただそれだけ。それだけだけど、コンクリートから芽を出すようなそんな強さがあって、涙が溢れた。

病院の清掃員さん、進級先の先生の言葉、アギー叔母さんに買ってもらった晴れ着。とても温かかった。人間て気持ち一つでこんなにも素敵に生きられるんだよ。