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残菊物語のtaのレビュー・感想・評価

残菊物語(1939年製作の映画)
5.0
信じ難いまでに研ぎ澄まされたこの作品を過不足なく形容しうる言葉が存在しないという事実を前に、言語の不完全さを呪いつつ愕然としてしまう。
あらゆる構図が、カメラの移動が、微かな所作が、声や物音が、映像においてしかあり得ない世界をつくりだすそのとき、その虚構性によって私たちが安住する現実世界は崩壊し、虚構が現実を超えた現実になる。俺は多分、映像世界に入り込むことさえ許されないまま、この世とあの世の狭間で宙吊りにされるという狂気的な経験をしたんだと思う。圧倒されすぎて観終わったあと体調を崩した。
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