残菊物語の作品情報・感想・評価

「残菊物語」に投稿された感想・評価


物語は本当にシンプルで、映像はモノクロだし画質も音質も良くはない

なのに、だれることなく最後は前のめりになって観てしまったのは、やっぱり俳優と演出の妙なんだろうなぁという感じ。

主演の二人の演技には唸る
うまい。すごい。


個人的に気に入ったのは、まだ着物を普段着として着ていた頃の正しい日本人の所作が観られる点。
袖口に向けて扇子をあおったり、お辞儀をするとき手を前腿で停めたり。

聞き知ってはいたけれど、俳優が自然に取り入れていると「あぁ、こういうことなんだ!」思えた。

おそらく、同時代の他作品でも日本人特有の所作を観られるとは思うけれど、あまり日本のモノクロ映画を観たことがない私にとっては、映像として流れるようにそれらの所作を観られることはとても感慨深いものでした。
yadakor

yadakorの感想・評価

4.0
同時代のハリウッド作に比べてカメラワークが斬新に思える
手すりの向こうの地面から見たカットとか逆に上の階から会話を見下ろしたり、盗み見みたいなショットが多くて面白い めっちゃ動くし

意外と現代と言葉遣い変わらないことに気づいてだれでも感動すると思う(噛んでも撮り直さないのもウケる)

すこし長すぎかな、120分でいい

つか1939年ってもう昭和なんだな、どんだけ長いんだ昭和、、、
lag

lagの感想・評価

4.0
物語は明治。親の七光りと言われる歌舞伎役者の菊、その奉公人だったお徳。二人の悲恋。まっすぐで献身的なお徳に心打たれる。
1956年の大映のリメイク版に続いて鑑賞、調べてみたら12年振りの再鑑賞です
ということであらすじはほぼ同じなので主に比較しながらの感想

やっぱり昔の自分の高評価そのままに良かったです!溝口健二が監督した名作のオリジナル、モノクロの良さっていうのもあるし、何より重みが違う、そのリアリティさ雰囲気、お芝居、映画なんだけど真に迫る本物感がある

その点で見ると大映版は娯楽作品風、綺麗すぎる、ドサ回りで落ちぶれる菊之助とお徳の2人の描写なんか特にそう思う、こっちはその長年の苦労、時にはやけになりやさぐれていたり、その描写の差がキャラクターとしてより生きていると思う
あとは長谷川一夫と淡島千景がのろけるシーン、あなたって呼び名に照れていたり、酒を口移しで飲んだり、この辺の描写が作品を軽くしてると思う

そして大映版で一番気になったラストお徳の危篤に駆けつける菊之助と、それを許す父菊五郎の描写
ここもやっぱり全然印象違った、こっちはお徳自体が呼んでない、周りが気を利かせて呼んでいる
父菊五郎にしたってもう死ぬから許したみたいな感じではなく、それまでの苦労と息子菊之助の成長に感謝し労いの気持ちから認めたみたいな
そうだよね、そうだからこそ納得できるし感動もある、最後までいじらしいお徳と立派な役者になった菊之助、だからこそ許し認めた菊五郎、見せかた次第で変わるもんです

今回はリメイク版と比較することでよりオリジナルの良さを知ったみたいな、そんな2回目の鑑賞でした
小林

小林の感想・評価

4.4
持続するカットの中に感情の動き、身体そのものがまるまると焼き付けられている
同様の『ラブホテル』よりも演出としての仰々しさが抑えられているため、よりソリッドに感じられるし、1939年というモンタージュの時代に堂々とやってのけたことに驚嘆する
一方で、ラストにかけての畳み掛けるようなカットワークからは、長回しとは対照的に、客観的な視点から見た物語の悲劇性があぶり出される

あまりカットやシーン単位で作品を見るのは好ましくないと思うのですが、屍と反応を捉えた短いカットがあまりにもショッキングで脳裏に焼き付いて離れない
冒頭、舞台裏の流れるような人の動きに感動。空間の仕切りをものともしないダイナミックな横移動、奥行きのある引き画、長回しの呼吸も完ぺき。素晴らしいとしか言いようがない。
jj

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4.5
親の七光りで人気者だが役者としてはいまひとつの主人公尾上菊之助。
その家の奉公人お徳。
周りの人間は主人公の若旦那を持ち上げチヤホヤするが、陰ではボロクソに批判してる。しかしお徳だけは奉公人として若旦那を思いしっかりダメ出しする。その真っ直ぐなお徳にいつしか想いを寄せる若旦那。
この二人の関係が身分違いと気にくわない家長はお徳に暇を出す。
激昂した若旦那は役者としての人気や家柄を捨てて家を出てしまう…

とにかくお徳の一途な想いに胸打たれます。芸事の厳しさ、不運に見舞われる若旦那。お徳の献身的な支え。希望と信頼と愛情。この二人を見守って先が気になり2時間以上の大作ですがダレることなくあっという間に見終えてしまう。ワンカットで長いシーンも多く豪華絢爛な舞台場面など見所満載。
溝口健二監督の初期作品。 
1939年製作の映画であり、当時の軍国主義の流れを嫌った溝口監督が描いた舞台もの。 

歌舞伎界に生まれ育って「大根演技」をしても持て囃される若旦那=菊之助だったが、子守女のお徳(森赫子が名演!)は、彼のことを思って「もっと芸の道に真剣になって凄い役者になって欲しい」とズバッと指摘する。ここから菊之助の「芸に対する真剣な姿勢」が生まれる。 
そして菊之助がお徳に恋愛感情を抱くが、お家柄もあり、大旦那などからは猛反対される。 
「芸」に向かい合うため、東京から大阪に行き、「一年後」になってもパッとせず、更に「四年後」の旅芸人生活。一緒に回ったお徳は身体をこわし気味になる。 
そして最後は、………感動の物語となる。 

大旦那が菊之助に言った「お前、(病床の)女房(=お徳)の所に行ってやれ」というセリフでは涙腺全開(笑) 

溝口健二監督のワンシーン・ワンカットの緊張感が伝わる大傑作である。
C

Cの感想・評価

3.8
人生だ…良い映画だったけど、何でこんなに評価が高いのか理解できなくて悲しい
のっけから「所影撮都京社会式株竹松」だからね。39年だもんね

時間も長いが横にも長い

溝口映画に印象的な川や船のシーンはないなぁと思っていたら、最後に出てきた(このシーンは縦に長い)

蓮實重彦がこれを見ないと非国民と言ってたそうな
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