ショコラ

残菊物語のショコラのレビュー・感想・評価

残菊物語(1939年製作の映画)
4.0
美貌の歌舞伎役者と、義弟の乳母との悲恋。

実話に基づいた作品。

劇中、出てくる歌舞伎役者は皆、実在するので、リアルに感じる。

名門の御曹司・二代目尾上菊之助は、周りからチヤホヤされていたが、裏では大根役者と陰口を叩かれていた。

そんな放蕩息子の彼を、女中のお徳が諌める。   

立場上、それは許されることではなかった。

しかしこの出来事を機に、菊之助はお徳に愛情を抱く様になる。

世間体から、奉公先を追い出された彼女を追う菊之助。

淡々としたモノクロ映像。

長回しの技法で映し出される舞台、貧しい長屋の人々の暮らしぶり等が秀逸。

華やかな役者生活から一転、どさ回り生活で心が荒んでいく菊之助を、献身的に支えるお徳がけなげ。 

ラストの船乗り込みシーンの賑やかさと、静寂の中のお徳の対比が素晴らしい。
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