もとまち

ローリング・サンダーのもとまちのレビュー・感想・評価

ローリング・サンダー(1977年製作の映画)
4.1
戦争によって心の死にきった男たちが繰り広げる乾いた暴力の応酬。

果たしてこれを復讐劇と呼んでいいのか。
主人公は殺された妻子の復讐のために暴力を行使したのではなく、あくまで暴力の口実として「復讐」という道を選択しただけに過ぎないのではないだろうか。
彼には燃え上がる復讐心などどこにも無い。
妻や息子が殺されても、女から激しく求められても、何も感じることはない。
ベトナム戦争での長い捕虜生活が、彼の心を死に至らしめてしまったからだ。

終盤、主人公は再び血塗られた暴力の世界へと身を投じ、復讐を成就させるが、彼の表情が晴れることはない。彼が戦争の記憶から解放される時は、永遠に来ないのだろう。

主人公と同じ虚無を抱えるトミー・リー・ジョーンズが、ノリノリで復讐に加担する様子が恐ろしかったです。
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