すずり

ブレックファスト・クラブのすずりのレビュー・感想・評価

ブレックファスト・クラブ(1985年製作の映画)
3.9
【概略】
スポーツマンに、セレブ女、不良、ガリ勉、不思議ちゃん。
本来なら殆ど交わらないはずの5人は、どうしてか休日の補講に呼び出され、一堂に会すことに。
そして彼等に与えられた補講は、「自分とは何か」についての作文だった...

・・・

【講評】
米国の"スクールカースト"を真っ正面から描き出した事で大きな反響を与えたという本作。
『ピッチ・パーフェクト』でも過去の名作として触れられていました。

肝心の内容ですが、前半は本当に特に意味のない煽り合いで、ぶっちゃけあまり面白くありません。
ですが、彼等が次第に自身の境遇を吐露していく後半では、この物語の持つメッセージが強まっていきます。

初めのうちは、まるで符号のように、見た目通りのキャラクターとして行動する彼等ですが、その実は親からの教育や縛り付けが大きく関与しています。
勉強至上主義や、運動至上主義。
育児放棄に、喧嘩の絶えない家庭。
子供達のキャラクターは、まさしく親のエゴが描出されたかのような調子で描かれているのでした。
そして、そのカテゴリーを決めつけて差別する教師の様子も、生々しく映し出されています。

本作は、そんな大人のエゴの関与を批判し、「まだ何者でもない」子供達の可能性や未来を礼賛する青春映画です。

何となく今の価値多元社会ではピンと来ない感じもしますが、公開当時はまだまだスクールカーストや人種差別なども根強く(今でも当然残っていますが...)、この映画が世の若者達に放ったメッセージの力強さは相当なものだったようです。
しかし、現代でもその普遍的なメッセージの重要性は決して衰えていません。


【総括】
大人のエゴと子供達のキャラクターとの関わりを描きつつも、子供達の将来を照らしてくれる爽やかな青春映画。
ラストシーンが非常に良い。
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