櫻イミト

処女の生血の櫻イミトのレビュー・感想・評価

処女の生血(1974年製作の映画)
3.5
イタリア映画界の大プロデューサー、カルロ・ポンティが、アンディ・ウォーホール組のポール・モリセイ監督と常連キャスト達に「悪魔のはらわた」(1973)と2本パックで撮らせたエログロホラー。原題は「BLOOD FOR DRACULA(ドラキュラの血)」。デ・シーカ監督とポランスキー監督が友情出演。

ルーマニア貴族の末裔ドラキュラ伯爵(ウド・キア)は処女の生血を吸わないと命が保てない身体だった。しかし母国では正体が知られたため、処女が多いと思しきイタリアの田舎へ執事と共に向かう。嫁探しを口実に村人(ロマン・ポランスキー)に尋ねると、4人の娘を持つディ・フィオリ侯爵(ヴィットリオ・デ・シーカ)の館を紹介されるが。。。

前作「悪魔のはらわた」ではフランケンシュタイン、本作ではドラキュラを主人公にアートなエログロ路線を展開している。血を吸った女性が処女でなかった場合には中毒症状を起こしてのたうち回るドラキュラ伯爵。その姿は哀れかつ滑稽で、エログロに加えてナンセンスの要素が強まっている。

前半はかなり良いのだが、中盤から物語が停滞し少々グダつきながら終わってしまう。前作と同スタッフによる2本パックの制作なので、根気が持たなかったのかもしれない。それでも、冒頭のデザインワークや有名監督の出演などマニアックな見所はあり、ドラキュラ映画のカルト作として捨てがたい一本とは言える。
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