シネクスー面白映画発掘人

時計じかけのオレンジのシネクスー面白映画発掘人のレビュー・感想・評価

時計じかけのオレンジ(1971年製作の映画)
4.5

この映画垢のアイコンにまでしておいて
10年以上観ていないことに気づき、手を伸ばしました。

当時はあまり観た映画本数が今ほど大きくなかった分
こんな映画があるのかと結構衝撃受けた。
『#雨に唄えば 』も本家よりコッチ先に見てしまった分、
こちらの印象が強かったり。


#キューブリック の#2001年宇宙の旅 と
#シャイニング の間に作られた映画。
欲望の限りを尽くす荒廃した自由放任と、
管理された全体主義社会とのジレンマを描いた、
風刺的作品。


オシャレな色彩・インテリア、
ベートーヴェンのテーマ曲、
何語でもない造語スラング、
独自の撮影技法等、
キューブリックお得意のアート的な作品でありながら、
ストーリーもしっかり作られている作品。
今でも映える映像・音楽で飽きることなくに前半が進み、
後半はパブロフの犬的な仕掛けを用いた政府の犯罪抑制策から
自由とは何かを考えらえる展開を迎え、
衝撃のラストで締めくくられる。


メチャクチャ久々に観ましたが、
映像的に未だに新しく感じますw

ストーリー展開もあまり似た作品がなく、
やはり好きな作品であることは変わらずです。
ただ暴力とセックスのオンパレードなので
好き嫌いはかなり分かれる気がします。

これ原作と結末が若干異なっており、
ハッピーエンドで若気の至りだったなー
的なちゃんと更生して終わる
最終章が抜け落ちているようで、
その点で作者が怒ってるようです
(シャイニングと一緒やん!)

ただ元々作者もこの章は書かずに
出版しようとしていたこともあったらしく、
実際ミスでそのまま出版もされているそうで。
キューブリックはそちらしか確認できてない
とか言ってるみたいw

そんなキューブリックの切り取り方も素晴らしいんですが、
この作品かなり原作者の実体験の影響も受けているようで、
元軍人の経験から
仲間に対するナメられちゃいけないような恐怖政治的な対応、
奥さんを4人の脱獄囚にレイプされた経験から
小説家の怒り、
などはまさに実体験そのものともとれる。
タイトルもマレーシアに住んでいた経験からマレー語の
「人=orang」
を用いて
「<A> Clockwork Orang(e)」

「<不特定多数の>時計じかけの人間」
と影響を受けている。

R18ながらもアカデミーノミネート、
これに影響を受けた青少年が知事暗殺を謀る等の点から問題作となった

(この事件を日記化し、それを基に作られたのが#タクシードライバー )

ちょっと偏った映画ですが、
映画好きなら見ておく作品だと思いますので、
良ければ一度見てみてはいかがでしょうか。