するとら

ベティ・ブルー/インテグラル 完全版のするとらのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

フランスのみならず全国的に大ヒットしたらしい本作
映画鑑賞後すぐに原作も読みました
可愛らしいカップルが本能剥き出しに愛し合いお洒落な音楽 風景と共にゆったりと時間が流れていく そんなストーリーを想像していたら
ベティが放火した辺りから雲行きが怪しくなり…ベティの精神分裂による暴行 ゾルグの強盗など まさにボニーとクライドのように安定しない日々が続く(実際映画内にも名前が出てきましたね)

そして犯行を繰り返しその日暮らしのような生活を送る主人公達の末路は当然のようにハッピーエンドとはいかない
その結末は衝撃的なものでした…
初めはなんなんだこのヒス女…とゾルグに同情したものの 後半にかけてベティのあの天真爛漫な笑顔が恋しくなる
ベティとゾルグの関係性は男女の立場が逆転している
ベティは馬鹿にされる事を許さない ゾルグの才能を踏み躙られたら自分の事のように感情を荒立てる 自らの才能を認めず弱気なゾルグにベティは諦めるなと鞭を打つ
一方ゾルグは抑えの効かないベティを母親の様に宥める
この二人でないと成立しない関係なんですね

ゾルグが作家を諦め(諦めたとベティが思い込んでただけ)妊娠もしてないと分かりベティはこの世に希望を持てなくなる
ゾルグは強盗して大金を持ってくるがベティは笑わない ベティはお金なんかよりゾルグとの幸せ(ゾルグが作家になるor家族を作る)を何より求めていた

ゾルグが出版社から連絡が来たときにはもうベティは植物状態に
ベティの喜びは全てゾルグにまつわるものだったのにこのすれ違いがもどかしくて哀しい

ベティは自分勝手に見えるが自尊心のないゾルグにとっては欠かせない存在だった
お互いに足りない部分を補い合うことで二人は支え合い本能のままに愛し合った

入院後原作のゾルグはベティーの生い立ちや本名まで何も把握しておらず ベティーの孤独心の原因にもなっていたのかなと思います。
原作ではベティーを殺した後も彼女は生きているとゾルグは言っていました
あの白猫にベティを憑依させ ゾルグはベティーからの贈り物 ゾルグの眠っていた作家意欲と共に生きていくことを誓うのです。

原作ではラストは強盗した警備員達が家に押しかけてくるところで終わってます。
しっかりと報いを受け回収されている原作の方のラストも好きです


衝撃的なヒロイン像と青い空や茜色の空燃え上がる二人の小さな家…あまりに鮮烈であまりに美しすぎる映像美の中で情熱的に愛し合う二人の姿に感動がとまらない…
感動しすぎてこんな長文になってしまった…
気持ちが溢れ出すほど美しく大好きな作品になりました、、
するとら

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