似太郎

いぬの似太郎のレビュー・感想・評価

いぬ(1963年製作の映画)
4.5
ドキュメンタル・タッチで綴られる暗黒街映画の基本中の基本。主演ジャン=ポール・ベルモンドの燻銀な演技が素晴らしいフレンチノワールの古典。

人間関係が割とゴチャゴチャしており未整理な点も確かにあるのだが、メルヴィル監督らしい即物的な演出とスタイリッシュな画作りが「男の世界」を色濃く捻出。

何かと野蛮な暴力描写も多く、こういう無骨な雰囲気がのちの『フレンチ・コネクション』や北野武『その男、凶暴につき』といった「冷徹に突っぱねた」バイオレンス映画の礎にもなっている気が…。

アメリカの暗黒街映画とはまた違ったクールでハードな展開が生々しく強烈な印象を残す、極めてリアリズム重視の作品と言える。甘っちょろいギャング映画に飽きてる人にオススメ。
似太郎

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