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シン・レッド・ラインのutakoのネタバレレビュー・内容・結末

シン・レッド・ライン(1998年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

1942年太平洋戦争ガナルカナル島上陸作戦。日本軍との激しい戦闘を、アメリカ軍前線部隊の視点から描いた戦争映画。

アクションエンターテインメントでもなければ、涙する感動作でもありません。ドラマ性を抑えてあり、兵士目線で戦地での戦闘の過酷さを描いた緊張感と恐怖に満ちた170分にも及ぶドキュメンタリータッチの作品でした。
戦争映画も様々切口があるけど、この映画は名もなき兵士たちの思考や鼓動がリアルに迫り、まるで戦場に居るかのような臨場感が味わえます。

本土で待つ恋人や夢を支えにする者、極度の緊張から無感情になる者、殺人を犯した重圧で我を失う者…弾丸が飛び交うその場に居る者全てが、任務と死の狭間で平常心を留める事がやっとで攻撃への一歩が踏み出せない。
鬱蒼とざわめく草原に腹這いになり、神経を尖らせ敵陣を見つめる目に映り込む見慣れた空や美しい自然。すぐ側で命をつなぐ動物や、穏やかに暮らす原住民たちの生活との対比は、戦争の異常さと虚しさを際立たせます。

日本軍の激しい攻撃を交わし攻め入って敵地を命がけで奪取しても喜びなんてものはないのです。降伏する敵兵も悪ではなく同じく戦争被害者だという感傷的描写は、戦争とは一体何と戦い、勝利して何を得るのか。何が悪で何が正義なのか。という問を投げかけてきます。

今まで観た戦争もので、一番恐怖と虚無感を覚えた映画かもしれない。心の支えにしてた彼女から戦場に届いた手紙『寂しさに耐えられず新しい彼をつくりました。わかって…』私も頭が真っ白になったわ…。
長尺だし心が相当元気じゃないと観れない作品だけど、戦地に立つ兵士の心理状態を擬似体験している感覚になり、いろんな感情が揺さぶられという点でもの凄い映画でした。

クリストファー・ノーラン監督が挙げる好きな映画ベスト10本のうちの一本で観てみました。

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