シン・レッド・ラインの作品情報・感想・評価

「シン・レッド・ライン」に投稿された感想・評価

meg

megの感想・評価

2.0
テレンス・マリック監督作品は『ツリー・オブ・ライフ』のみ鑑賞。彼の作品はなるべく大きな画面・大きな音で没入するように観ないと集中力が持続しないと知りながら、監督を確認せずにラップトップで鑑賞してしまった。環境としては最悪。しかし自然と戦争(要するに人間の業)の対比が鮮やかで美しく、自然が美しければ美しい程に人間に対する皮肉が際立った。ただあまりにも抽象的なので、そこにはまらないと苦痛になりそう。。。今度はなるべく良い環境で鑑賞したい。
光から闇が生まれ、愛から憎しみが生まれる


テレンス・マリック監督 1998年製作
主演ジム・カヴィーゼル、ショーン・ペン


シリーズ「映画で振り返る太平洋戦争」
今日取り上げるのは「シン・レッド・ライン」

実は、1942年の8月7日は、アメリカ軍がガダルカナル島に上陸し、反攻作戦を開始した日なんです。それもあり「今日は何の日」的に今作を手に取りました。


さて、まずは歴史のおさらいをしましょう( •̀ω•́ )و✧


【ガダルカナル島の戦いとは?】

太平洋戦争における海軍の分岐点が「ミッドウェー海戦」だとすると、陸軍における分岐点は、この「ガダルカナル島の戦い」だと思います。

ハワイに奇襲攻撃をかけた際、山本五十六はこの戦争が1年もたないことを知っていました。だからこそ、急襲攻撃で機先を制し、戦況が有利なうちに早めの講和に持ち込みたいと考えていました。


しかしながら、もったのはわずか半年。
連合軍は予想以上の速さで攻略戦を仕掛けてきたんです。
海軍は1942年6月の「ミッドウェー海戦」で敗北し、航空母艦4隻を含む主要な艦船を失いました。
また、陸軍はガダルカナル島への連合軍の反攻作戦は1943年以降だと楽観したため、島には空港建設の設営隊とわずかな護衛隊しかいませんでした。
ところが連合軍は、その空港建設の報を受け、急遽、ガダルカナル島も攻略対象に含めたんです。日本軍は全くの無防備でした。そのため、1942年8月の奇襲作戦に際し、連合軍はほぼ無傷で上陸することが可能だったんです。

ですが、日本軍はそこから体制を立て直して守備隊を再組織。連合軍に抵抗していくのですが、準備不足は如何ともし難い。それでも半年間抵抗し、最終的に1943年2月7日に撤退(当時は"転進"と発表された)します。

犠牲となった兵の数は日本軍の戦死者約2万2000に対して連合軍は6800人でした。


なお、連合軍の上陸後、ラバウルから派遣された陸軍の一木支隊は第七師団歩兵第28連隊が主要なメンバーでした。この第七師団って、精鋭部隊として知られてましたが、僕の地元旭川を拠点とする部隊なんですよね。そのため、今も自衛隊の駐屯地があります。
旭川は元々、屯田兵により軍都として開拓された街で、北の守りを固める目的で第七師団が作られました。そのため、北鎮部隊とも言われます。初代師団長は屯田兵将軍だった永山武四郎が務める由緒ある部隊でした。
このガダルカナル島の戦いに派遣された2500名のうち、帰還できたのはわずか140名でした。終戦時、僕の父は小学生でしたから、徴兵されたりはしていませんが、地元旭川からも多くの人が出兵しています。そのため、このガダルカナル島の戦いは、昔から他人事ではない気がして、心が痛みました。





長くなりましたね。
さて、映画の話に戻りましょう。

「シン・レッド・ライン」は1962年に発表されたジェームズ・ジョーンズの小説が原作です。アメリカの若い兵士が主人公のため、どうしてもアメリカ側の目線になっていますが、映画の主題はそこではありません。

この映画、戦争映画ではあるので、もちろん戦闘シーンもあります。また、ガダルカナル島の戦いを描いているため、残酷なシーンも多いです。
ですが、テレンス・マリック監督は、戦闘描写と並行して、ガダルカナル島の自然などの美しさを鮮やかに映し出します。これ、普通の戦争映画ではありえないことです。

それゆえ、戦争映画らしさを求める向きには物足りなく感じる作品なんです。
かく言う僕がそう。
昔観た時、つまらないなぁと思っていました。

でも、主題を理解すると、評価が一変します。
「生と死」
「愛と憎」
「善と悪」
「光と闇」
これらは対概念です。
一方を描くと、他方が見えてきます。
加えて、この映画では「戦争と自然」なんです。
自然の美しさ、不変さを描くことで戦争、あるいは人が持つ残酷さ、愚かさを描いているんです。

また「生死」を分けるのは、本当にちょっとした差なんだと映画は語っています。
ある兵士が、戦場において生死を分けるのは、戦闘技術ではなく、「運」なんだと語るのですが、まさにそこがポイントでした。そこを隔てるのは本当に「薄い」線、「シン・レッド・ライン」なんです。運命に弄ばれ、あまりにも軽い命。

でも、人生って、自分で選択し、開拓してこそのものですよね。それが出来ない世界は、やはり狂っている。
その狂った象徴がニック・ノルティが演じたトール中佐でした。
娯楽作ではないので、僕の評価はこんな感じですが、素晴らしい映画だとは理解しましたよ。
豪華キャストも魅力な本作、よろしければ、手に取ってみてください。




そう言えば、今作、アカデミー賞には7部門ノミネートされたが、受賞はならず。でも、ベルリン映画祭にて金熊賞を受賞しました。

実は、この年に撮られたもう1本の戦争映画が「プライベート・ライアン」です。アカデミー賞では11部門ノミネートで五部門の受賞でした。
ただし、作品賞を始めとする主要部門は「恋に落ちたシェークスピア」が取りました。やっぱりアカデミー賞だなぁと思いましたよ。

ノルマンディー上陸作戦を描いた「プライベート・ライアン」は観客を戦場に連れていき、追体験させるかのような作品でしたが、「シン・レッド・ライン」は自然と戦場との対比や兵士のモノローグで語るので、映像と言葉で観客に考えさせる作品でした。
つまらなく感じるのは、その演出ゆえです。


僕はテレンス・マリック監督の作品はこれしか観たことがありませんが、すごく文学的で観念的な演出をしますね。今作はさらに宗教的。他の作品はどうなんだろう。
でも、監督はハーバード大の哲学科を首席で卒業したとか。なるほど、理屈っぽいわけです。
妙に納得してしまいました(笑)
評価の高い「天国の日々」観てみようかなぁ……。
SayoNoda

SayoNodaの感想・評価

3.9
戦争を描いているのに、とても美しい。でも戦争賛美ではなく、人間の尊さが滲み出てるような、素晴らしい映画。

好き嫌いわかれるだろうけど、私は大好き。兵士にもいろんな人がいて、弱さや悲しみや苦しみがあって、その中で自然はただ自然のままある。

随分前に見たからよく覚えてないけど、そんな映画。も一度、今度は映画館で見たいな。
チィ

チィの感想・評価

-
ガダルカナル島の戦争の話。日本軍VSアメリカ軍。
島の自然がとても綺麗だった。大自然に囲まれた人間たちの争いは、いかに小さいかもわかる。人間の狂気と正気との境も描かれていた。
プライベートライアンとは正反対の表現の戦争映画だった。戦争の話に美しいも汚いもないけど、映像は綺麗だったと思う。
キャストがすごかったらしいけど、全然わかんない。クルーニーも30秒くらいだし…。
ウサミ

ウサミの感想・評価

3.6
人が醜く殺し合い、死の恐怖に打ち震えているような戦場においても、なお自然は美しい。目が奪われるような映像がそれを強調していた。
兵士たちが戦場において抱える、人を殺すこと、殺されることへの恐怖や葛藤を描いた、哲学的な作品だと感じた。
iwa

iwaの感想・評価

2.0
何だろう。作成者の伝えたいことが透けて見えすぎて冷めてしまったのかな。
兵士たちの悲しみと切なさと哀れさを全面に出してる戦争映画です。結果的に見てる方は退屈ですが、、
かない

かないの感想・評価

3.5
映像がひたすらに美しい。

劇的な瞬間が無くて、盛り上がらないし言ってしまえば退屈。
でも戦争なんて本来ドラマティックなもんじゃないだろうし、なんもねーんだろうなという想像をさせる。
まこと

まことの感想・評価

3.4
詩的な章句や禅問答と自問自答、抽象的概念の独自的見解

それは時にストーリーを進行するためのナレーションだったり、登場人物の心の声などで作品内から我々観客へとアウトプットされる

テレンス・マリック監督の映画がアーティスティックな仕上がりになるのはこういった一貫した作品性によるもの

人によっては間延びしてまどろっこしく感じるのももちろんわかる、個人的にもそのように感じることは多々あるけどそれでも彼の映画を観てしまうというこの厳然たる事実
 今回は第二次世界大戦のガダルカナル戦を舞台としている。しかしテーマは同じ。「家族」の愛と争いだ。
 まず目を奪われるのはガダルカナルの美しい風景。とうてい、これから戦地になるとは思えないほど息を呑む映像が映し出される。だが期待は過ぎに裏切られる。兵士達が草むらに潜伏する中、突如として静けさを爆音が切り裂く。そして銃撃戦が始まり兵士達は次々と血を流し、倒れていく。美しさと醜さを対比させて、映画は一定のテンポを保ちながら進んでいく。
 他の戦争映画よりも人物描写は深くない。兵士達が死んでいくときも悲しみの感情は最後まで盛り上がらない。そこにあるのは戦争の悲惨さ、ただそれだけだ。どれだけ敵の陣地を攻略し、敵兵を射殺し、捕虜を増やしても喜びなんて感情はない。仲間を殺された憎しみをぶつけるしかないのだ。それも戦争という形式化された敵対関係の中での話。
 劇中で登場人物らが何度かナレーションも兼ねる。「なぜ私たちは争い続けるのか。」元はといえば同じ人間同士なのになぜこのガダルカナルで殺し合いをしているのか。戦争の原因などは一切描かれず、戦地での兵士の生き様が生々しく描かれる。「シン・レッド・ライン」の主人公は一人一人の兵士ではない。1隊としての兵士、「人間」としての兵士なのだ。これこそ「ツリー・オブ・ライフ」にも通ずる「家族」だ。
 戦争という出来事をこの映画は描き切れていない。その代わりにそこでわき起こる悲しみや憎しみ、そして友情はすべてここに凝縮されている。テレンス・マリックならではの戦争だ。
(12年1月30日 BS 5点)
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