このレビューはネタバレを含みます
原作、鈴木清剛の「ロックンロールミシン」が大好きなんです。
あの黒Tとデニムに鋲ベルとサスペンダーしてる若者の後ろ姿が表紙の本。
15~6歳の時だったと思うから、1998年くらいかな?
この本を読んだのは。
ちょうど世の中は山本耀司や川久保玲などで熱くなっていた80代のDCブランドブームが過ぎ去った頃。過ぎさってはいたけど、その影をすごく感じる時代だった。
新たな個性派ブランドを若者が身につけてた頃ね。
オリジナルでファッションブランドをつくりたい若者が大勢いたよね。
私もそのうちの1人だったんだけどね。
“オリジナル”でファッションを生み出す勢いがものすごいあった時代だったと思う。
マンションメーカーとかすっごい憧れてたし、デザイナーズブランドを持つ事が最大の夢だった。
その時に読んだこの本。
この時代のファッションデザイナーを目指す若者をものすごく的確に捉えていて、すっごい気持ちが分かるんです。
この頃のクラブやファッションや流行りが、言葉では言い表せないけど、すごく感じれるんです。
だから大好きで、何度も何度も読んでる本。
それが映画化されてたなんて!
Netflixボーっと観てたらあったからびっくり!
すぐに観ました。
行定勲監督、この「The 大人の人生の夏休み」的な雰囲気、よくぞ出してくれました!!って思った。
誰もが自分の将来や仕事について悩んだり葛藤したりする、そんないったん下がった気持ちと新しい事を見つけて足を踏み入れて上がった気持ちがすごくよく表されてた!
何度も読んでた原作だから脳内で勝手に登場人物の身なりが構築されてたんだけど、りょうちゃん以外最初全然イメージ違うし!って思った。
池内博之の凌一は見事なまでにイメージとぴったり。
椿さんは、もうちょっとロックなイメージ(ダークヘアのロングをびっちりきつく三つ網みして、ピアスたくさん、みたいな。昔のPuffyの亜美ちゃんっぽい感じ)を持ってたけどりょうがかわいすぎて完璧だった。服もすごい似合ってた。ちょっと長めのストレートデニムとサンダルの感じとか。
あとクラブで着てた服もかわいかった。
カツオは、私の中ではスチャダラパーのBoseみたいなイメージだったからちょっとしっくりこなかった。
そして、賢司。ぜんっぜんイメージと違った(笑)私の中の賢司は袴田吉彦みたいな見た目なんです。90年代によくいたあんな感じの髪型で、あんな感じの人。いけてるわけでもなく、ダサいわけでもない、無難な感じの人。
加瀬亮ねぇ...未だにしっくりこない。
どうしても、洋服をつくることを目標にしてる人の目線で観ちゃうから、賢司よりもりょうちゃんの気持ちで観てしまう。
最後はブランドを解散してしまう。
たとえば「賢司がチームに加わって成長していく」とか誰が、何かをやり遂げたとか、そういうのはこの物語ではそんなに重要な事ではないと思う。
誰しもが通るこんな淡く儚い時代の空気感だったり、高まったり落ち込んだりする気持ちを感じ取れるのが重要なんだと思った。
この時代のファッションを目指す若者の気持ちが痛いほどわかる。
あのドキドキも、興奮もわかる。
いつまでも青春ムービーが好きなように、この映画もずっと好きだと思う!
原作とはちょっと色々違ってたけど、映画もすごく好きになりました。
多分一生好きだと思う。
まるで自分の事のように感じるからっていうのあるし、この空気感、癖になりそう。
ちょっとしたトリップみたいな。
最後、服をびりびりにハサミで切り裂くときのハサミの扱い方だけが気になった。
服飾をやってる人はあんな風に刃の部分を持たないからね。絶対。
もっと早くに観ておけばよかった!
と思いました!
また原作も読んで、映画も観返しちゃおーっと♪