デヒ

PASSIONのデヒのレビュー・感想・評価

PASSION(2008年製作の映画)
4.9
2021年11月6日
27th kawasaki しんゆり映画祭2021
で鑑賞。

ドライブ・マイ・カー』、『偶然と想像』の濱口隆介監督の東京芸術大学大学院の卒業作品。
濱口監督の作品を観るたびに感じるのは、演出の特徴であるロングテイクが飽きないし、台詞の力がすごいということだ。 監督の作品は、人物が自分の本心を告白することで状況を解決していくという共通点があるが、映画を観ている観客にも後悔として残っていた記憶を呼び起こすと同時に、その状況を想像の中で現実化させてくれる。本作は私の記憶の中で未練として残っていたその記憶と立ち向かってあのときには言えなかったことを言うことできれいに解決できるよう助けてくれた。濱口監督だけの人間を見つめる視線がうまく溶け込んでいてその本心がよく伝わってくるから、観客もまた彼の思想の中に溶け込んで自分と向き合えるようになるのではないだろうか。
濱口監督と知り合ってから間もなく、観た作品はまだ7本しかないが、本作が一番印象深い。
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