YukiHomma

PASSIONのYukiHommaのレビュー・感想・評価

PASSION(2008年製作の映画)
5.0
人はたぶん無意識の内に大人になるにつれて物事がなるべく面倒くさくならないように、なるべく大ごとにしないように、言いたいことを言わずやりたいことをやらずに日々生きていると思う。それが大人になるということなんだろうし自分もそうなんだけど、この映画に出てくる29歳の仲間達はパーティーでの報告を期に、その壁を破る空間を自ら作り本音を対面でぶつけ合う。
こういった本来であれば踏み込むことのない他人の領域にまで踏み込み、保たれていたバランスを崩し正体を暴いていくという行為自体がもはや映画を作るということと同義のような気がする。作品をより良くする為の意見がぶつかり合うのは映画を作る上で普通に起こるし、仮にそれが自主制作や卒業制作などの友達同士であれば本当に“もう友達じゃいられないかもしれない”ということも起こり得るだろう。でもそれは全く不思議なことではないし、人間は思ってるより優しくないことも分かっている。またそれは学生のような10代であればより純粋な暴力として、または新鮮な目線として浮かび上がる。世界がつまらないのは必ずしも自分のせいだけではない。だからそれを破壊しつつも現実を超える映画というものに惹かれるし濱口竜介が起こす映画の奇跡に感動したい。
自分はある意味で映画の映画として受け取ったけど卒業制作でそんなん撮るかね普通。
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