ヤマタノオロチ

ゴジラVSビオランテのヤマタノオロチのレビュー・感想・評価

ゴジラVSビオランテ(1989年製作の映画)
2.5
ゴジラ版「サンダ対ガイラ」?

平成VSシリーズで一番売れなかったという汚点を除けば及第点でしょう。沢口靖子さんと小高恵美さん以外の演者はパンチに欠けますが、ビオランテの花獣形態がもつ独特の神々しさと、植獣形態が持つグロさも良かったです。スーパーX2のカッコよさはシリーズ屈指のものがあります。

制作の方はかなり迷走していたようで…正直、本編よりメイキングの方が面白いです。特技監督の考え(ストップモーション案・アニメ演出案等)がことごとくボツされており、未採用シーンもメイキングで観ることができます。


【本当にオリジナル?】
ゴジラVSビオランテの原案は一般公募による採用であり、メイキングの冒頭でも原案者(小林晋一郎氏)が「人間によるバイオテクノロジーの誤用が主体」であると語っていました。私も「良い着目点だ」と思っていましたが、ひょんな事からそれが疑問へと変わっていきました。

先日、ネットフリックスで「サンダ対ガイラ」(1966)を初めて観たのですが、「あれ?ゴジラVSビオランテと同じじゃね?」と思えるセリフや設定がありました。酷似点は以下の通りです。

・事件の発端は科学実験
・実験体はある日逃げ出す
・キーワードは「細胞」
・「2体の怪獣は兄弟ではなく分身」というニュアンスのセリフがある
・主役となるは男女の科学者
・怪獣同士による湖戦がある
・一体は人類の味方
・自衛隊が新兵器を投入しそれなりの戦果をあげる
・怪獣が去った場所での細胞の採取シーンがある

など、共通点をあげると切りがありません。
しかし、メイキングの中では「サンダ対ガイラ」という言葉一切出ることは無く、誰の意向でこの様な脚本になったかは不明です。

【総評】
小林氏の意見がどこまで反映されたかは不明ですが、客観的に見ると「新しい物」というよりは「リメイク」と考えるのが妥当かもしれません。
だからといってゴジラとビオランテのバトルが色褪せる事はないですが、「サンダ対ガイラ」を観た後ではストーリーの転用感は拭い去れませんでした。
ヤマタノオロチ

ヤマタノオロチ