爆裂BOX

イベント・ホライゾンの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

イベント・ホライゾン(1997年製作の映画)
3.9
「バイオハザード」シリーズや「モンスターハンター」のポール・W・S・アンダーソン監督が手掛けたSFホラー。興行的には失敗しましたが、ビデオソフト発売時にカルト的な支持を得る事になったそうです。
西暦2047年、7年前に海王星付近で消息を絶った宇宙船「イベント・ホライゾン」号からSOS信号が発信され、ミラー船長率いる救助船「ルイス&クラーク」号が設計者のウィアー博士と共に救助に向かう。しかし、イベント・ホライゾン号に侵入したクルー達は船内で幻覚や幻聴に襲われて一人、また一人と謎の死を遂げていくというストーリーです。
初見時は「エイリアン」の様にエイリアンが宇宙船内に侵入していてそれに襲われるような内容かと思っていましたが、宇宙を舞台にした幽霊船のような内容だったのは意外でした。ウェアー博士が開発した超光速で空間を移動する重力移動装置「コア」により、地獄のような異次元に行ったことで戻ってきた船自体が邪悪な意思を持つようになり、クルー達を殺していくという設定が面白いですね。ちょと「DOOM」思い出した。
前半は主にイベント・ホライゾンの探索をする救助船のクルー達が不気味な幻覚や幻聴などの異変に悩まされる所が描かれますが、無重力で浮かぶ惨殺死体や固体になって空中に浮かんだり地面に落ちている液体が、重力が戻ると同時に液状になったりする描写面白いですし、犠牲者一人目出るのも中盤位と遅めですが、船全体に生命反応あったり、全体に漂う不気味な雰囲気もあって飽きずに見れました。イベント・ホライゾン号の幾何学的なデザインや、どこか聖堂を思わせる様な内部のデザインも印象に残ります。コアのある機関部に通じる通路の目の回りそうなデザインも好きですね。
宇宙服なしでエアダクトに入った人間の腕に血管が浮かんで、目や口から血を吐き出す描写もちょっとリアル感感じさせます。でも、宇宙空間に生身で放り出されたら即内臓口から出たりして死にそうだけど、案外即死しないのかな?ビデオ航海日誌に残された狂気に取り憑かれて乱交状態で殺し合いする乗組員たちのシーンも短いながらインパクトあります。完全版ではもっと血塗れだったみたいですが、フィルムが残ってなくて見れないのは残念。後半では幻覚見たり狂気に取り憑かれたものによってクルーが殺されていきますが、生きたまま解剖される所はハッキリ映されないけど中々エグめ。少しだけ映る吊るされた皮もエグイですね。
責任感強くクルー思いのミラー船長演じるローレンス・フィッシュバーンはまだ若くてシュッとしててかっこいいです。サム・ニールは設計者ながらクルーの疑問にちゃんと答えなかったり最初からアレな所ありましたが、後半はとんでもない姿になってでも平常運転だなと安心しました(笑)地球に残した息子の事思うクルー役のキャスリーン・クインランに寡黙だけど有能なDJ役で「ハリーポッター」のルシウス役で有名なジェイソン・アイザックス、喧嘩っ早くて死に際に見せる表情が猛烈に切ないショーン・パートウィーと意外と出演陣豪華ですね。お喋り黒人クーパー役で、「ザ・ルーキー」グレイ巡査部長役のリチャード・T・ジョーンズも出ててこちらも若くてシュッとしてて初め分からなかった。
自身の抱える闇や恐怖心を基に船が幻覚を見せてくる所は「惑星ソラリス」、血の洪水のシーンは「シャイニング」の影響窺わせますね。後の「バイオ~」シリーズでもそうでしたが、アンダーソン監督は分かりやすく自分の好きな物自分の映画に取り入れますね(笑)クライマックスのウェアー博士がまんまピンヘッドだったり、コアがパズルボックスみたいな形だなと思ったら、クライヴ・バーカーが製作初期段階で助言してたんですね。
クライマックスは大爆発起きたりド派手にしめますが、ミラー船長の漢気はカッコイイ。機関部に残ったままだから船長はウェアーと一緒に「彼方側」に行ったのか。
不穏な雰囲気で終わるラストもホラーらしくて良いですね。前部デッキも生きていたのか。
久しぶりに見ましたが、オカルトSFホラーとして楽しめる秀作だと思います。