ピョンちゃん

座頭市物語のピョンちゃんのレビュー・感想・評価

座頭市物語(1962年製作の映画)
4.5
午前十時の映画祭で観ました。
『サマーフィルムにのって』で取り上げられていて、観たいなと思っていたところに何というタイミングのよさ!狙ったのか偶然なのかわかりませんが、運命的なものを感じます。
まず修復された映像が60年前の映画とは思えないほど美しくて驚きました。まるで現代の映画みたいで、4Kに感謝です。
そして今更言うまでもありませんが、この映画は紛れもない傑作ですね!勝新のカリスマ性に魅了されました。彼が伝説的な人物である所以がよくわかりました。軽妙さと凄みを併せ持った市という魅惑的なキャラクター。もう初めて刀抜く場面なんて、鳥肌が立つほどゾクゾクしましたね。
勝新だけじゃなくて、出演者がみな今の時代にはない雰囲気を纏っていて心奪われました。特にヤクザの親分なんかは面構えが迫力あり過ぎて、並々ならぬものを感じました。
橋や水辺の光景は、あの世とこの世の繋がりを想起させます。漂う死の匂い。ライバル平手造酒との魂の交歓。胸に沁み渡ります。
完璧な脚本、美しい映像と構図、役者の魅力、すべてが高純度で結晶した、とてつもない作品でした!
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