座頭市物語の作品情報・感想・評価

座頭市物語1962年製作の映画)

製作国:

上映時間:96分

ジャンル:

4.0

「座頭市物語」に投稿された感想・評価

角川シネマ新宿での「大映男優祭」にて鑑賞。本作を観ようと思ったのは、塩田明彦著『映画術』で<被写体の発見>であり<その動きの発見>である<ショットの天才>と評される三隅研次監督の件で紹介されていた作品だから。

盲目の剣豪、座頭市が、とある親分のところでやっかいになる。その親分は別の親分と対立関係にあり、相手方には平手造酒という労咳病みの剣豪がいる。ある時2人が出会い、友情を交わすけれど、やがて戦う運命に…。

本作の「ショット」がいかに素晴らしいかについては『映画術』で詳しく解説されているのだけれど、これが滅法面白く、映画ってこういうものかと。こりゃ観ないわけにはいかないな、と。

しかしながら本を読み返さず、いつものようにぼんやり観てしまった結果、面白かったなあと思ったものの、本にあるような核心部分を味わうことなく終えてしまった。本作はいずれまたしっかり観ることにして、自分への戒めも含め、本からの引用を。

<映画は、アトラクションでしかない場面と、重要な芝居の場面があるわけじゃなくて、すべてが重要なわけです。決定的な「動き」を見出して、作り上げて、切り取って、組み合わせる。お客さんがそういう「動き」の意味に気づかなくても、無意識には伝わるはずで、そこを目指して作っていかなければ映画は作れない。>

<逆に僕ら(引用者注:映画関係者)は、そういうつもりで映画を観ないといけない。だらっと観てはいけない。僕もだらっと観ててよく寝たりしますけども、少なくとも「三隅研次」って名前が付いていたら、しゃきっと背筋を伸ばして観なきゃいけない。何やってるかわからないです、ほんとに。>

だらっと観てしまった結果、自分が良く感じられなかったのは次のこと。

<三隅研次はショットの天才だと言いましたけれど、ああいうシンプルな動き--影のなかの動き、按摩として背中を揉む、殺陣の中で相手を背負う--そういうひとつひとつの非常に単純な動きの中で、ひとりの人間の生き様を見せてしまう。いわばその人物の人生を、「1分間」で捕まえる。何十年に及ぶ人生の「1分間」が、平手造酒の背中につかまった一瞬だったり、平手造酒を背負った一瞬だったりする。そうした「動き」を組み合わせたもの--それが映画なんです。>

こういう言葉を読むと、自分は映画をつかめていないということを思い知らされる。ストーリーとテーマを追うことに精一杯で、映像で表現されていることを意識の上で把握できていない。

まあ職業ではなく趣味の映画鑑賞だからやっきになる必要はないのだけれど、解説にあるようなシーンで「うわっ、すげえ」と思える領域に踏み込んでいかないと、長く続く趣味にならないかもしれないなあ。
座頭市は勝手なイメージで、超娯楽チャンバラ時代劇なんだと思っていたが、意外や意外、超抑制された時代劇でいい意味で裏切られた。

刀を抜きたくないのに抜かざるを得ない男たちの心情が上手く描かれている。
まず思ったのは北野武への影響。
北野武作品の中のエピソードづくり。キャラクターを見せる上で毎度展開されるギャグ的要素や、そのフリとオチの執拗さ。
演技のテンポ感だったり、主人公と好敵手の親和性というところだったり。

美術も、カメラワークも、何より勝新の魅力もそうなのだけども、とにかく映像作品として古くはない。

ただ、話とまったく関係ないところで。
座頭市がモテてはいるが、男の友情の方が…的なエピソードが、勝新だとどうにもハマらない気がする。

あと、「私、苦労してもいい」とか言って美女にモテて、そのクセ…みたいなのは気に入らないというか。
それは高倉健の仕事だろう?って思ったり。

後々、すぐに「ヤッちゃう」座頭市になっていくので、勝新サイドも気付いたのだろう、とか邪推。
てふ

てふの感想・評価

4.5
座頭市を初めて観た。勝新太郎演じる盲目の侠客と、天地茂演じる虚無的な剣豪のどちらもが魅力的な人物。お互いに深い友情を感じながらも、戦わざるを得なくなることの哀しさがなんとも言えない。橋上で斬られた剣豪が座頭市に倒れ掛かるシーンは良い。

角川シネマ新宿 大映男優祭にて
勝新さんの代表作、座頭市の第1作。当然ながら初期はモノクロ映画。ですが、殺陣は完璧なほど座頭市として形になっている印象です。よくも目を開けずに鞘に刀をしまえるなーと感心してしまいます。

現在では差別表現になる「めくら」。随所に使われてましたね。でも、差別的な感じはしませんけどね。市もめくらと呼ばれるだけなら何とも思わないようでしたが、これが「めくらのくせに」とか「所詮めくらは」と見下してしまうとアウト。何事も言葉は選びようです。同じ差別表現だと「びっこ」なんかは、私もよく親父に「びっこ引いてどうした?」なんて言われてましたから、差別なんだーと若干違和感さえあります。

今作は、市の殺陣というよりかは、第1作に相応しく、市の人柄の描写が多かったですね。盲目のやくざなのに、物腰は柔らかく進んで人助けをするいい人。その上、剣の腕は立つってんだから、勧善懲悪ものなら愛されて当然のキャラクターですよね。個人的にも人懐っこくて好きです。
あ

あの感想・評価

3.9
ストーリーとキャラ設定が魅力的すぎた。

座頭市が世の中に負けんとして抜く刀の鋭さ。それは中々みせないからこそ、その一瞬に驚き見入る。殺陣とは本来こういった緊張感が漂っているものなのだと再認識させられる。近頃のアクションを否定するわけではないけど、耐久力が異様に高すぎて緊張感がまるでないんだよね。
やっぱりビリビリした立会いは如何に映画であっても撮りようによっては伝わってくるものなんだな。銃とか撃たれてもみんな気力で撃ち返すけど真剣で一太刀くらったら終わりだしなと。

平手との橋での対決もいいけど、市が作中初めて人を叩っ斬る竹藪のシーンの方が「座頭市」感があって好き。
あと次第に市に惹かれ慕うおたねが可愛らしい。月夜での2人のやり取りは微笑ましいしロマンチックだった。

時代劇いいなぁ最近むっちゃはまっとる。
最初の橋を渡るシーンで、映画が言おうとしてる事を描いている気がする。

素敵な人との出会いによって、人間の更生や、悪い人がいい人になったりなどを描いてるんじゃなくて。素敵な人に出会っても、そこから何かを汲み取る意思・力がない人にはそんな出会いも意味を持たないってこと。を描いていたのかな?って思った。

他人が亡くなった時に、自分で殺生(魚釣り)を禁じたり、通夜のつもりで酒をのむ。

今までみた時代劇で、決闘のシーンではただ単に男共通しが戦うとこしかなかったけど、これは被害を受ける農民の女性と子供、老人。ヤクザの縄張り意識のために被害を被る弱い立場の人も描かれていた。
鰐川

鰐川の感想・評価

3.2
エモい!!!!
少年漫画を読んでいるような痛快さ。
ラストの「どうせろくな奴じゃねえだろう」にシビれる。
平手と座頭市の決闘シーンのエモさが極まってる。
蓼吉が徹頭徹尾クソ。
ミツヒ

ミツヒの感想・評価

4.5
終盤の対決する物同士の顔を繋ぐ回り込む様なカメラワーク、河は映画において不吉な暴力が渦巻く場所として描かれる法則
レオーネのバロックさとはまた違うというより、あっちのほうはちょっとやり過ぎな気がしないでもないが、三隅研次の演出は冴え渡っている。あの橋のカッティングしかり、女殺しの上に子分を殺し殺戮のきっかけを作った蓼吉を一瞬にして池に落とす場面しかり。
まあそれにしてもこの、座頭市のキャラクターがまっことにもう惹きつけられる魅力があり、障害を持ちながらも強い強いということと、天知茂と酒を交わしたり、一緒に釣りをしたりしてるうちにお互いに好敵手と認めあうというのは昨今の映画漫画には見当たらない造形に心打たれる。座頭市が刀を抜く場面はそうそう無いのがやはり良い。
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