任侠、仁義…そんなもん
消えちまったなぁ…、、
昭和40年代…ヤクザ渡世
が暴力団へと変貌し始めた
時代。最後の侠客として
意地を魅せる男たち…。
「日本侠客伝 絶縁状」
今まで過去の任侠・ヤクザ世界を描いていたシリーズが突然現代劇になった第八弾…。見始めた時、別の作品と間違えたかと(笑)現代劇と言っても今から55年前ですが…ヤクザ=任侠・仁義からヤクザ=暴力団となり、堅気衆に迷惑をかけるようになった時代です。(所謂仁義なき…の時代)そこで古き良き侠客、博徒たらんとした男の姿を描いた作品。主演は勿論高倉健さんです。
東京、一大勢力であった天盟会会長が暴力取締頂上作戦により、賭博容疑で捕まり早3年。法の網はジリジリと狭まり、天盟会の会員である各組の財政は危機に陥り始めていた。会のトップである浜田組は博徒として会の賭博を仕切っていたが、トップを狙う金融・不動産を仕切る上野組は警察に博打場をタレコミ、陥れに掛かってきた。侠客として最後まで意地を魅せる浜田だったが…。
うーん…。現代劇、侠客側の組が解散に追い込まれ…、しかも堅気になってからも狙ってくる暴力団って…。何か、コレジャナイ感が凄くてどうもなぁと。マキノ雅弘監督の良さがあんまりにも出てなくて…(T_T)。
まず現代劇では…ヤクザって何か駄目でしょ。途中…自分のシマを歩く浜田組組長高倉健さんを皆が恐れ、引いていくシーンがあって…もうだめだ解散しようになるんだけど…そんな悲しいシーンを任侠ヒーローの健さんで見たくない。まるでこの3年後辺りにくる東映任侠路線の終わりを予言しているみたい。
更に健さんが堅気になって厄介な出世争いの相手が消えてくれたのに嫌がらせやワザワザ子分を殺して、自ら墓穴を掘るのはどうなんだと…。まぁ暴力団の意地何か、任侠道に比べたら鼻◯そみたいなもんだけど…。と思っちゃう時点でストーリーにハマってないなと。
敵がサイコパス渡辺文雄さんとガマガエル遠藤太津朗さんなんでまぁ小物感が…。凶面の天津敏とかいればまだなんだけど経済ヤクザだから仕方なしか。また侠客伝は助っ人がシリーズ前半来て盛り上がることもあったけどそれもなし。ただし待田京介さんや藤山寛美さんが味方にいて、二人は良かったかな…。特に藤山寛美さんはコメディリリーフ役だけじゃなくて、涙を誘う良い役でしたからね。ヒロインの健さんのおかみさん役は松尾嘉代さん。実は可愛げあって芝居もうまい。藤純子さんとはまた違う明るさがあって素敵でした。
健さん…ちょっとばかし窮屈そうです。残侠伝みたいに無口で型にはまった役でもなく、自由過ぎる網走番外地風でもなく、頭を悩ませる組長役でしたからね。ラストの出入りは変わらずカッコ良いですが…始末の付け方が何とも締まらない感じが気になります。まぁそうなるかなとは思いましたが…劇中良い意味でも悪い意味でも出てきた「時代」と言う言葉が、そのとおりになっちゃうからね。
健さんに何を求めて劇場に行くのか、作品を見るのかと言ったら…俺たちが社会、会社でできない様な筋を通したり、器用に汚く生きるやつをスカッと退治してくれる事を期待してる訳で…その点からこの作品、やや脱線してる気がしてますので…残念かなと。