アルパカメタル

牛乳王子のアルパカメタルのレビュー・感想・評価

牛乳王子(2008年製作の映画)
3.5
「先生を流産させる会」以後の作品はほぼ全部観てる内藤瑛亮監督の学生時代の作品。内藤さんって人間の根幹がもう14歳の非モテ文系男子(これ、本人が自分のことをそう呼んでいたのを聞いた)なのだよ、年を重ねるごとにどんどん内省的なほうに向かっていってるだけで、やってるのはずっと「こんなに女の子のこと大好きなのに、なんで俺はモテないんだ!!!」っていうのを暴力表現で発散してる。映画がなかったら犯罪者にでもなってたんじゃないか、、って思わず偏見の目で観てしまうくらいこの「牛乳王子」はエグい。前半がエグイだけに後半突然ミュージカルになってポカーンとしてしまった。でもこの人の映画がエグいのは自分の欲望の危険さにちゃんと目を向けているから。映画を撮るごと、自身の内面化したミソジニーな目線に気づき、それを次の作品に昇華する。自主であっても、商業であっても変わらず自分のやりたい表現ができている。稀有な作家です。