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スタンド・バイ・ミーのNのネタバレレビュー・内容・結末

スタンド・バイ・ミー(1986年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

最初に観たのは高校生くらいだったかな、曲が好きだから気になって観たけど全然面白くなくてがっかりだった。
それでもあまりにも曲が好きだから、夏になる度に思い出しては聴き、たまに観返し、映画自体も段々好きになった。
この作品って劇的な何かが起こるわけじゃなくて、ただただ線路を行くのが基本のストーリーだからあの頃のわたしには面白くなかったんだと思う。少年時代の最中で観てもこの映画の真の面白さというか、味わい深さは絶対に分からない。その時代を過ぎ去って、決して戻れなくなってから観ると強烈に刺さる。
高校の時は全然面白くなかったけど、それでも観ておいて良かったな。「高校の時に観ても全く面白くなかった」という事実が一層深みを増してくれるから。

昔は終始ぽかんとしてたけど、今ではクリスの告白でまず泣く。苦しくて苦しくて、なんでこの子がこんな思いしなきゃいけないんだろうって思う。あまり良くないとは思うんだけど、リヴァー・フェニックスと重ねてたまらなくて泣く。

ラストも当たり前のように泣く。
Although I hadn't seen him in more than ten years, I know I'll miss him forever.
I never had any friends later on like the ones I had when I was twelve.
Jesus, does anyone?

あぁ……あぁ、もう共感200%でこれ以上何を言っていいか分からない。
子供のときって、趣味も性格も家庭環境も何もかも合わないのに何故か仲良くなるよね。12歳の頃、塾の帰りに暗い公園で一緒に木登りして柘榴食べたな。毎日毎日一緒にいたのに、中学に入って何となく離れてから10年以上経つ。本気で会おうと思えば会えるけど、会おうとは思わない。でも永遠に恋しい、その子たちのことも、その日々も。
あの頃のあの瞬間にしかない不思議な友情みたいなものを掬い上げてノスタルジックに描くのが上手すぎて、心が完全にリンクしてしまう。確かにあの頃のような友人が出来ることは二度とないんだろうな。理由のない友情って不思議だね。
これを打ち込んだゴーディが立ち上がって息子のところに行くのがいいなぁと思う。この少し寂しくて愛おしいノスタルジーを抱えて僕らは今を生きていくんだな。


初見はずっと昔だけど、リヴァー・フェニックスの誕生日でTwitterが賑わってたから書きにきた。永遠に美しいリヴァー・フェニックス。前に彼の子供の頃の話を聞いて、吐きそうなくらい苦しくなって、もう一度Stand by me を観て、また泣いた。わたしの中ではこんなに生々しく存在しているのに、わたしが生まれる前に彼が亡くなっていることも、もう彼の年齢を追い越してしまったことも、全部不思議な感じがする。
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