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スタンド・バイ・ミーのSのネタバレレビュー・内容・結末

スタンド・バイ・ミー(1986年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

彼ら4人の少年の生きる世界が、彼らの想いが、少年たちの体温だとか息遣いすら感じるほど隣にいるみたいに伝わってきて、魂を感じた。
当たり前だけど子どもって生きていて、その中で色々楽しいことも悔しいことも悲しいことも経験して感じて考えている。自分もそうだったことを思い出したし、すべての子どもが1人の人間として生きているんだと実感した。子どものこんな本音に触れることなんてないから、この映画は自分にとって現実よりもリアルな子どもを見せてくれたというか。

治安が悪い、素行が悪い、口が悪い、そんな人物ばかり出てきて嫌だな、と思って観ていたら、口の悪い少年たちの中に垣間見える優しさ、賢さ、強かさの温もりに気づいた。ただ不良がちょっと良いことして好感度上がるやつではなく、クリスなんかは家庭環境のせいか自分でも悪ぶっているけど賢く物事を考えて人に寄り添える優しさを兼ね備えた本当の良い子だった。また子どもたちの味方になってくれない大人たちの中、すでに亡くなったゴーディの兄貴の愛情はそれだけで涙してしまいそうになる程。そしてゴーディの成長。年上たちに拳銃を突きつけた。あの経験は彼の強さに繋がっていくんだと思う。
本作は当然ながら4人の物語だけれど、やはりゴーディとクリスの友情は特に見ものだった。互いに心の叫びを吐き出し、自分を曝け出し、実力や才能を認め合い(お世辞じゃないのが大人との違いだと思った。本音で、本気で語り合える関係性の尊さよ)鼓舞することで2人の将来への道がここで大きく変わったのだろうと思うと、この冒険は何よりも大きな意味があった気がする。
何よりこの冒険の価値を、彼らの友情の価値を知らしめているのが最後のゴーディの打ち込む文章だった。成長するともう付き合いもほとんどなくなったバラバラな4人でも、確かにあの瞬間の友情は残り続けていて、あの頃の友人に勝る友人はいない...「誰でもそうだろう」最後の最後、この一文で自分の思い出がフラッシュバックして泣いてしまった。自分も幼少期、確かに生きていた。あの日々を思い出した。
『Stand by Me』主題歌がまた泣かせる。君がそばにいれば。
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