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奇跡のleylaのレビュー・感想・評価

奇跡(1954年製作の映画)
4.7
「奇跡」が起きる。
「奇跡」などと世の中で一番ウソっぽいことを堂々と描いているのに、最後に本当に奇跡を見たかのように思えました。スクリーンを凝視しながら、奇跡を願い、奇跡を信じている自分がいました。奇跡を体感した、かつてない感動。


👇以下、ネタバレ含みます⚠️











ほのぼのとした仲のいい家族の様子が丁寧に、ユーモアを持ってホームドラマのように描かれる。どれだけ祖父がいい人か、家族を愛しているか。祖父も家族から愛されている。

精神を病み、神の言葉を告げる次男が頻繁に登場する。次男は皆に心配されていることがわかる。

リアリズムを丁寧に積み重ねて描いたからこその、ラストの奇跡の信憑性だったのではないかと思いました。

一家の長である祖父は常日頃から宗教の話をしている。神を信じているはずだった。
それなのに、「ほら、みろ、誰も本当に神を信じてやいないじゃないか!奇跡を願ってはいないじゃないか!」と、信仰心を、人間の心の危うさを問われているように思え、私自身もギクッとしました。

でも本当に信じれば奇跡は起こるという信仰への希望を感じさせる優しさ。私には宗教や神のことも、今作の深部までも全然理解できてはいないだろうけど、素晴らしい作品だったなと素直に思えた。この作品こそが「奇跡」のようでした。ずっと観たかった作品、映画館で観れて幸せ。

Ordet=言葉、御言葉
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