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奇跡のtorumanのレビュー・感想・評価

奇跡(1954年製作の映画)
4.6
カール・テオドア・ドライヤー監督の映画史に残る名作です。
その昔、岩波ホールで鑑賞して"観た"という記憶だけ残っている作品。
デジタルリマスター版を早稲田松竹にて鑑賞です。

キリストの異なる宗派を信仰しているボーオン家とペーター家の確執と和解。
そして奇跡が描かれています。

モーテンを家長としたボーオン家。
長男のミッケルは妊娠中の妻インガーと2人の娘がいます。次男のヨハンネスは精神が不安定で自らキリストと思っている状態。
三男のアナスはペーター家のアンネに恋心を抱いていますが、宗派観の違いからペーター家に断られてしまいます。
その間にインガーのお産が始まってしまい…

白黒映像が漂白されたかのように綺麗です。
冒頭のヨハンネスが歩く小高い丘と、真っ白い洗濯物のコントラストの鮮やかさ。
お葬式のシーンの棺の白さ。
とにかく白が素晴らしい。
その後ヨハンネスを中心とした、奇跡に繋がる一連のシーンは、映画の歴史に残る神々しいシーンです。

名作ではありますが、敷居は全く高くありません。
娯楽作品と言っても良いと思います。
あまり配信やレンタルでも観られない作品ですので、最寄りの劇場にかかったら是非奇跡を味わっていただきたい作品です。
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