このレビューはネタバレを含みます
信仰を持たない者、信仰を持ちながらもどこか疑いが晴れない者、それでも信仰を持つ者...この緻密な人物描写に基づいた信仰のグラデーションを、ほとんどカメラのパンだけで説明しきった力作でした。ラストの復活は、ともすれば陳腐な演出になりかねないところ、復活そのものよりも、復活という「奇跡」を目の当たりにした人々の信仰を確固たるものとするところに力点を置いたことにより、安易に結末の明暗だけで語らせない映画になっていたことは言うまでもないでしょう。
フィルマのサムネを見るに、どれだけ壮大な物語なのかと思って鑑賞しましたが、気づけばロケーションはほぼ簡素な一軒家の中でした。しかし、一瞬も飽きがきません。このことからも、いくらロケーションが固定されていたとしても、緻密に描かれた人物を適格に捉えることで、これほどまでに世界を広げられるのだということを本当に実感させられる一作だといえるでしょう。