ターミガン

ロンドン・ブルバード -LAST BODYGUARD-のターミガンのレビュー・感想・評価

3.0
コリン・ファレル演じる、出所した火の玉主人公ミッチェルがカタギの仕事を求めて、ひょんな事から元女優の邸宅の使用人になる話が舞い込む。その邸宅に眠る高級ビンテージカーや絵画欲しさにギャングのボス・ギャントに執拗に勧誘されてミッチェルは渦に巻き込まれていく……
といった感じの導入で、映像とか含めてそんなに嫌いってわけではない。

ただ、派手なアクションや大きな抑揚を用いずシナリオで勝負する特性上、やはり脚本面で物足りなさを感じる。言ってしまえば主人公を取り巻く環境(※因縁)に奥行きがない気がするのだ。
重要なキャラクターかと思いきや存外そうでもなかったり、あれだけ時間を割いた因縁なら本筋に絡んでくるかと思いきやそうでもなかったり。

原作の小説を読んでいないので断定的な事は言えないが、おそらく各登場人物との因縁や関係性を希薄にして奥行きを出さなかったのは、終盤の主人公の行動と結果を示す為だったんじゃないだろうか。妹も含めて。
そう納得しないと、敢えて感情移入させづらくしてる起承転結にちょっと説明がつかないかな〜と思う。

あと気になったのは収入源にまつわる描写。
金で借りを作らないモットーっぽく演出されているミッチェルが、カタギとタタキの狭間で板挟みにあう序盤〜中盤、不良仲間から引っ張る描写はあるのに、それ以外の基本的な収入はどうやって工面してたのかが描かれておらず、ちょっとアンバランスな点ももったいない。
劇中のBGMも「煽る割に展開に乏しくないか?」と肩透かしを喰らう選曲が目立った気がする。

きっと、ネイティブスラングの「舌戦」や「皮肉」がよく分かれば、もっと楽しめる作品なんじゃないだろうか。
とは言え、カット割りは良いと思ったし、シャーロットを演じるキーラ・ナイトレイはキレイだった。