Panierz

私の夜はあなたの昼より美しいのPanierzのレビュー・感想・評価

4.0
失語症で数学者の男と、過去も未来も透視できる超能力者の女が出会い一つになり、過去や社会のしがらみから解き放たれていく。
この広大な海で迎えるラストは、希望に満ち溢れたものなのだろうか。

ズラウスキーにしては落ち着いてるなと感じるのは、普遍的な社会を基盤に置きながら、伝達手段を失った人間、すなわち理解の及ばない存在を社会との対比で狂気として扱っているからかなと思う。
そんな男の狂気を丸め込み一つになれるのは、この女のよくわからない超能力あってこそのもので、逆説的に男と女、というか人と人は分かり合えないものだと言っているようにも見える。

希望に満ち溢れた逃避行ラストと見せかけて、諦観的に逃れられない社会という現実を突きつけた、ズラウスキー流のSFラブストーリーなのかなと思ってしまった。
Panierz

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